2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21591201
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
木村 晋也 佐賀大学, 医学部, 教授 (80359794)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福島 伯泰 佐賀大学, 医学部, 講師 (20346894)
久富 崇 佐賀大学, 医学部, 助教 (10398125)
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Keywords | 白血病 / 骨芽細胞 / 破骨細胞 / 慢性骨髄性白血病 / ナノチャンバー / ニッチ / ABLチロシンキナーゼ |
Research Abstract |
慢性骨髄性白血病(CML)の完治が難しい原因として、CML幹細胞は、ニッチに守られG_0期にあるために、ABLチロシンキナーゼ阻害剤の攻撃を受けないと考えられている。我々は、より生理的な環境下で白血病細胞ニッチの研究を行うため、骨芽細胞、破骨細胞、骨片と白血病細胞の共培養系を構築した。そして破骨細胞が骨内のTGF-βを吸い上げ、培養液中に放出し、白血病細胞をG_0期に誘導することを報告した。本年度の共培養系を用いた研究により、破骨細胞周囲に接着している白血病細胞はABL阻害剤・ニロチニブに暴露されても死滅され難いことが分かった。In vivoにおいて破骨細胞を阻害するビスホスホネート製剤・ゾレドロン酸を投与すると、共培養系内の破骨細胞もやはり死滅した。ニッチを構成すると考えられる破骨細胞が死滅したことにより、白血病細胞はニロチニブに対する感受性を回復した。以上の結果から、破骨細胞がくみ出すTGF-βがニロチニブの治療抵抗性に重要であることが明らかとなったため、単純なinvitro実験系でTGF-βの関与について再検討を行った。骨関連細胞を含まない培養系において、ゾレドロン酸はニロチニブの作用を相乗的に増強したが、TGF-βを添加することで、この併用効果はキャンセルされ、逆にゾレドロン酸はニロチニブと拮抗作用を示した。本結果は、白血病細胞に対する併用効果を検討する際に、単純なin vitroの系だけでは不十分であり、今回我々が用いたような共培養系下での検討も必要であることが示唆された(論文準備中)。 またがん細胞がゾレドロン酸に暴露した際に放出するイソペンテニルピロリン酸濃度の測定を可能にした。 過去の報告と以上の結果を合わせ、白血病細胞の殲滅には破骨細胞を除去することが不可欠と考え、特に破骨細胞がその病態と密接に関与する成人T細胞性白血病に対して、抗がん剤治療にゾレドロン酸を併用する臨床試験を開始した。
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