2010 Fiscal Year Annual Research Report
白血病におけるWT1の抗アポトーシス機能の解析とWT1分子標的療法の開発
Project/Area Number |
21591205
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
尾路 祐介 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座教授 (20294100)
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Keywords | WT1 / leukemogenesis / molecular targeted therapy / apoptosis |
Research Abstract |
WT1遺伝子はほとんどすべての白血病細胞に高発現し、抗アポトーシス機能を果たしている。本研究ではWT1 17M(+) isoformが白血病細胞において果たす抗アポトーシス機能の分子機序を明確にするために、WT1 17AA(+) isoformが活性化/不活化する下流シグナル経路の探索およびWT1 17AA(+)タンパクと結合しその抗アポトーシス機能に関与するタンパクの探索を行った。その結果、白血病細胞において発現させるとアポトーシスを誘導する60aaのWT1の部分配列を見出し、これと結合するタンパクをWest-Western法により探索し、3種のタンパクをその候補として同定した。そのうちの2種は低酸素状態における代謝に関与するタンパクであり、さらにそのうちの一方は、これまでにWT1の強制発現によりリン酸化が低下するタンパクとして同定したタンパクであった。これらの結果は、WT1タンパクの機能発現の機序として、これまでに明らかではなかった、癌細胞の代謝経路の調節が重要である可能性を示す。現在、細胞抽出液をもちいたin vitroの系でWT1タンパクあるいはWT1タンパクの部分配列が上記の代謝経路に及ぼす影響について解析を進めている。さらにWT1シグナル経路を標的とする新規分子標的薬の開発を行うために、上記で同定した白血病細胞にアポトーシスを誘導する60aaの配列中でアポトーシスの誘導に必要な配列の解析を進め、20aaの配列を同定した。現在、このWT1由来ペプチドおよびその修飾ペプチドによるアポトーシス誘導能の検討をin vitroおよびin vivoにおいて進めている。
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Research Products
(3 results)