2009 Fiscal Year Annual Research Report
前駆細胞をターゲットとした多発性骨髄腫の新たな分子標的療法の開発
Project/Area Number |
21591219
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
木崎 昌弘 Saitama Medical University, 医学部, 教授 (20161432)
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Keywords | 多発性骨髄腫 / 前駆細胞 / 分子標的療法 / アポトーシス / マウスモデル |
Research Abstract |
本研究は、これまで明らかでない骨髄腫前駆細胞を明らかにし、それらを標的にした新たな治療法を開発し、多発性骨髄腫の治療成績を向上させる事を目的としている。骨髄腫前駆細胞の増殖にはNF-κB活性が必須と考えられるため、まず新たなNF-κB阻害剤の開発を行った。生理活性物質1'-acetoxychavicol acetate (ACA)にNF-κB阻害活性があることを見いだしているが、ACAは種々の骨髄腫細胞の増殖を細胞周期G1期に停止させ、アポトーシスを誘導した。臨床応用を目的としてACAを構造展開して得られた化合物について、定量的構造-活性関係解析(QSAR)により、ACAよりもさらにNF-κB活性抑制効果の強い化合物を精製し、いくつかの候補化合物を得る事ができた。 また、金製剤auranofin (AF)は用量依存性に種々の骨髄腫細胞株および患者骨髄腫細胞のアポトーシスを誘導することを明らかにした。AFは骨髄腫細胞の増殖に必須なIL-6シグナル下流のJAK2/STAT3のリン酸化を阻害し、STAT3のMcl-1への転写活性を抑制し、骨髄腫細胞のアポトーシスを誘導する事を見いだした。骨髄腫細胞U266にMcl-1を強制発現させるとAFによるアポトーシス誘導はキャンセルされた。したがって、AFはMcl-1をターゲットとして骨髄腫細胞のアポトーシスを誘導すると考えられた。さらに、AFはp65の核内移行を阻害する事によりNF-κB阻害活性を有することも合わせて明らかにした。ACAおよびAFによる骨髄腫細胞のアポトーシス誘導には活性酸素(ROS)は関与していなかった。 当該年度はさらに、以上の知見を骨髄腫前駆細胞において検証するために、患者骨髄腫細胞からMACSを用いてCD138分画を単離する系を立ち上げた。
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