2010 Fiscal Year Annual Research Report
前駆細胞をターゲットとした多発性骨髄腫の新たな分子標的療法の開発
Project/Area Number |
21591219
|
Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
木崎 昌弘 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (20161432)
|
Keywords | 多発性骨髄腫 / 前駆細胞 / 分子標的療法 / アポトーシス / マウスモデル |
Research Abstract |
本研究の目的は、治癒の難しい難治性造血器腫瘍の治療成績の向上を目的に、いまだ明らかでない骨髄腫前駆細胞をターゲットにした新たな分子標的療法を開発することにある。 癌幹細胞あるいは前駆細胞の増殖には転写因子NF-κBの活性化が必須であり、また骨髄腫細胞の増殖にも必須の分子であるために、新たなNF-κB阻害剤の開発を行ってきた。生理活性物質1'-acetoxychavicol acetate(ACA)にNF-κB阻害活性があることは既に明らかにした。今年度は、さらに優れたNF-κB阻害剤を開発するためにACAを構造展開し得られた種々の化合物のHL-60細胞の増殖抑制を指標とした定量的構造-活性関係解析(QSAR)にて新たな低分子化合物TM233を合成分離した。TM233は骨髄腫細胞に対してACAよりはるかに優れたNF-κB阻害活性を有し、骨髄腫細胞の細胞死を誘導することにより増殖を抑制した。さらに、その作用機序はNF-κBの細胞質から核への移行阻害であることが明らかになった。興味深いことにTM233はカスパーゼ非依存性に骨髄腫細胞の細胞死を誘導した。 プロテアソーム阻害剤ボルテゾミブはNF-κB阻害活性を有しすでに臨床応用されている。しかしながら、継続して使用することによりボルテゾミブ耐性が誘導されることが問題である。TM233はボルテゾミブ耐性骨髄腫細胞に対しても細胞死を誘導することが可能であり、現在その詳細な作用機構を解析している。また、患者骨髄腫細胞よりMACSを用いて分離したCD138陽性細胞に対するTM233の作用およびその分子作用機構についても継続して検討しており、次年度の課題としたい。
|
Research Products
(8 results)