2009 Fiscal Year Annual Research Report
NK細胞リンパ腫におけるeIF4E高発現とアスパラギナーゼによるその抑制機序の検討
Project/Area Number |
21591222
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
杉本 耕一 Juntendo University, 医学部, 准教授 (50281358)
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Keywords | eIF4E / L-asparaginase / NK細胞リンパ腫 / MYC |
Research Abstract |
L-asparaginase(L-ASP)は治療抵抗性のNK細胞腫瘍に対して特異的に抗腫瘍効果を発揮する。その作用点を調べたところ、p70 S6 kinaseおよび4E-BP1のリン酸化抑制などのrapamycinと同様のmTOR経路の阻害に加えて、eIF4Eの発現量の低下というrapamycinにはない作用を認めた。eIF4Eは翻訳開始の律速因子で、外来性の高発現により癌への形質転換をもたらし、種々の悪性腫瘍で実際に高発現し予後不良因子であることが報告されている。NK細胞リンパ腫の検体を用いた解析により、既に高発現が報告されているびまん性大細胞型B細胞リンパ腫よりもさらに高いeIF4発現が認められた。NK細胞株であるNK-YSおよびNK-92においては、0.001 IU/mLという極めて低濃度のL-ASPの24時間処理で特異的にeIF4Eが低下し、アポトーシスが惹起された。同時に行ったWestern blottingではL-ASP処理によるeIF4E量の低下に一致してMYC、BCL-2の蛋白量の著明な減少が認められた。これらの細胞株では未確定であるが、L-ASPで同様の変化が認められるJurkat細胞においてsiRNAを用いてeIF4Eの発現を抑制した場合にL-ASPと同様の蛋白質群の低下、アポトーシス誘導が認められた。このことはL-ASPによるeIF4Eの低下が直接に殺細胞効果につながることを強く示唆している。また、NK-YSおよびNK-92においてL-ASP処理後の経時的な定量的RT-PCRによりMYC、BCL-2のmRNA量が変化のない時点ですでに蛋白量が低下しており、eIF4Eが関与する翻訳レベルでのMYC、BCL-2の変化である可能性が強く示唆された。
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