2009 Fiscal Year Annual Research Report
CXCR4に関連するCML前駆細胞の骨髄遊走、定着機構の解明とその治療的応用
Project/Area Number |
21591223
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
田部 陽子 Juntendo University, 医学部, 先任准教授 (70306968)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金 林花 順天堂大学, 大学院・医学研究科, 研究員 (90531955)
岩渕 和久 順天堂大学, 医療看護学部, 教授 (10184897)
市川 直樹 順天堂大学, 大学院・医学研究科, 研究員 (80468587)
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Keywords | 慢性骨髄性白血病 / イマチニブ / CXCR4 / Lyn |
Research Abstract |
【研究成果】慢性骨髄性白血病(CML)細胞において、チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)が、骨髄間質細胞(MSC)共存下で、CXCR4の脂質ラフト内への集積、脂質ラフト内でのLyn活性化、CXCL12/CXCR4シグナル経路の活性化を誘導し、骨髄間質細胞への遊走能亢進に作用することを明らかにした。 【具体的内容】(1) TK[(イマチニブ)によって、CML細胞表面のCXCR4発現が上昇したが、CML細胞中のCXCR蛋白量は変化せず、TKIがCXCR4の分布に影響を及ぼすと考えられた。(2) TKIよってLyn蛋白量は変化しなかったが、リン酸化は抑制された。しかし、MSC共培養下では、TKIによる活性型Lyn(p-Lyn^<Tyr396>)の抑制が一部解除された。(3) TKIが、MSC共培養下で脂質ラフト内のCXCR4, Lyn,活性型Lynの共局在を誘導することを脂質ラフト抽出法、共焦点イメージ法および免疫沈降法によって検証した。(4) TKLは、MSC共培養およびCXCL12刺激下でCML細胞の遊走を促進したが、この細胞遊走は、Src阻害剤やsiRNAによるLynノックダウンによって強く抑制された。また、脂質ラフトからのコレステロール抽出(メチルβシクロデキシトリン)によっても遊走能は抑制された。(5) Abl阻害剤であるイマチニブと比較してAbl/Src二重阻害剤であるダサチニブの遊走促進作用は有意に弱く、CML細胞の骨髄遊走に対するLyn同時阻害の有効性が示唆された。 【意義】当該研究によって、TKI治療後に生じるCML細胞のCXCL12/CXCR4シグナル活性化のメカニズムの一端が明らかになった。CML前駆細胞の骨髄残存阻止に有効な分子標的療法として、CXCR4の直接阻害のみでなく、Lyn阻害が有効であることが示唆され、さらに脂質ラフト内のコレステロール成分が新たな標的となりうる可能性を示した。
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