2010 Fiscal Year Annual Research Report
白血病幹細胞化における細胞分化段階と遺伝子異常の関係
Project/Area Number |
21591224
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
松下 弘道 東海大学, 医学部, 講師 (50286481)
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Keywords | 急性前骨髄球性白血病 / PML-RARA / FLT3-ITD / NOGマウス / ヒト臍帯血 |
Research Abstract |
急性骨髄性白血病は、細胞増殖を促進する遺伝子異常(class I異常)および細胞分化を抑制する遺伝子異常(class II異常)が作用することにより発症し、一部が幹細胞化して白血病細胞を供給すると考えられている。本研究は、前骨髄球の増殖が主体となる急性前骨髄球性白血病(APL)に着目し、class I異常FLT3-ITDおよびclass II異常PML-RARAをヒト臍帯血由来CD34陽性細胞に導入して、白血病発症メカニズムを明らかにするものである。我々は、これまでにclass I異常FLT3-ITDおよびclass II異常PML-RARAを臍帯血CD34陽性細胞に導入してNOGマウスに移植することによりAPL様の白血病が発症することを明らかにし、prospectiveなヒトAPL発症モデルを確立した。 発症したAPLの遺伝子発現を網羅的に解析すると、APL臨床検体と同様のプロファイルを呈することから、本モデルが遺伝子レベルにおいてヒトAPLに類似することが明らかになった。またこのAPLモデルはPML-RARAが存在すれば、FLT3-ITDが共存の有無にかかわらず一定の割合でAPLを発症した。APL発症前後のDNAについてSNParray解析を行ったところ、大きな異常は存在しなかった。APL幹細胞分画については、CD34+/CD38-、CD34+/CD38+、CD34-/CD33+の3つの分画に分けてPML-RARAキメラ遺伝子を導入したところ、興味深いことにCD34+/CD38+でのみAPL発症した。実際にNOGマウスに発症したAPLにおいても、CD34陽性白血病細胞を骨梁周囲にはほとんど認めてなかった。現在、さらに詳細な解析を行っている。
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