2010 Fiscal Year Annual Research Report
マントル細胞リンパ腫におけるストローマ依存性薬剤耐性の克服
Project/Area Number |
21591226
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
三浦 裕次 愛知医科大学, 看護学部, 教授 (00345612)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三輪 啓志 愛知医科大学, 医学部, 准教授 (00209967)
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Keywords | 悪性リンパ腫 / ストローマ / 薬剤耐性 |
Research Abstract |
治療抵抗性で最も予後不良な悪性リンパ腫である、マントル細胞リンパ腫(mantle cell lymphoma, MCL)の病態を解析のため、悪性細胞周辺の微小環境(ニッチ)の役割を検討した。ストローマ細胞とリンパ腫細胞を共培養することでストローマ細胞ニッチモデルの樹立し、この細胞間相互作用を解析した。MCL細胞を単独培養した際と、ストローマ細胞と共培養した際のMCL細胞のRNA発現強度を比較したところ、ストローマ細胞と共培養したMCL細胞でNox2の遺伝子発現が有意に亢進していた。そこで、MCL細胞の増殖における、活性酸素(ROS)の生成源として機能しているNox family遺伝子の機能的役割を検討した。MCL細胞の生存能は、抗酸化剤の添加により用量依存性に抑制され、細胞内ROSの産生は減少し、アポトーシスが有意に誘導されていた。Nox2の発現は、8株のMCL細胞株すべてで健常人のB細胞と比較し有意に亢進していた。MCL細胞株SP49やSP53をSiRNA Nox2-RNAでknockdownすると、細胞内ROSの産生は減少し、アポトーシスが有意に誘導された。まとめると、抗酸化剤やNox2-SiRNAによってMCL細胞化株にアポトーシスを誘導したことから、ストローマとMCL細胞との細胞間相互作用で活性酸素(ROS)が重要な役割を果たしていることが明らかになった。これらは難治性悪性リンパ腫であるマントル細胞リンパ腫に対する有効な治療薬となりうると考えられ、これらの併用によって抗癌剤の治療効果を高める可能性があることが示唆された。
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