2011 Fiscal Year Annual Research Report
マントル細胞リンパ腫におけるストローマ依存性薬剤耐性の克服
Project/Area Number |
21591226
|
Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
三浦 裕次 愛知医科大学, 看護学部, 教授 (00345612)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三輪 啓志 愛知医科大学, 医学部, 教授 (00209967)
|
Keywords | 悪性リンパ腫 / ストローマ / 薬剤耐性 |
Research Abstract |
マントル細胞リンパ腫(mantle cell lymphoma,MCL)は、悪性リンパ腫の中でも最も難治性である。本研究課題では、MCLにおける悪性細胞周辺の微小環境(ニッチ)の役割を検討するため、ストローマ細胞ニッチモデルを樹立し、この細胞間相互作用を解析した。ストローマ細胞とMCL細胞を共培養すると、MCL細胞を単独培養した場合と比較し、MCL細胞の生存は有意に延長した。MCL細胞の生存能は、抗酸化剤の添加により用量依存性に抑制された。その際にMCL細胞の生存能は、細胞内活性酸素(ROS)の産生は有意に減少しアポトーシスが誘導された。さらに、ストローマ細胞と共培養した際のMCL細胞のRNA発現強度を比較したところ、ストローマ細胞と共培養したMCL細胞で、ROSの生成源として機能しているNox family遺伝子のうちNox2の遺伝子発現が有意に亢進していた。またNox2の発現は、MCL細胞は健常人のB細胞と比較し有意に亢進していた。そこで、MCL細胞の増殖におけるNox family遺伝子の機能的役割を検討した。MCL細胞株SP49やSP53をSiRNA Nox2-RNAでknockdownすると、細胞内ROSの産生は減少し、アポトーシスが有意に誘導された。これらの結果から、MCLではストローマなどの微小環境(ニッチ)がMCL細胞の生存に重要な役割を果たしていることが示唆された。また、抗酸化剤やNox2-SiRNAによってMCL細胞化株にアポトーシスを誘導したことから、ストローマとMCL細胞との細胞間相互作用で活性酸素(ROS)が重要な役割を果たしていると考えられた。このような悪性細胞周辺のニッチの環境改良、つまりストローマと腫瘍細胞との細胞間相互作用の分断こそが難治性悪性リンパ腫の有効な治療標的となりうること、さらにこれらの併用によって抗癌剤の治療効果を高める可能性が示唆された。
|