2009 Fiscal Year Annual Research Report
先天性赤芽球癆の診断および重症度判定のためのバイオマーカーの確立
Project/Area Number |
21591228
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
浜口 功 National Institute of Infectious Diseases, 血液・安全性研究部, 部長 (90348780)
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Keywords | 先天性赤芽球癆(DBA) / リボソームタンパク / 検出システム / 遺伝子コピー数 |
Research Abstract |
近年、DBAの原因遺伝子としてRPL5, L11, L35A, S7, S10, S17, S19, S24, S26などリボソーム遺伝子にヘテロ変異が明らかにされ、確定診断に遺伝子変異解析は非常に有用な要素になって来た。しかしながら、これまでDBA患者の片アリルの欠失はこれまで詳しく解析されて来なかった。 そこでDBAの遺伝子変異の検出率のさらなる向上のために定量genomic PCR法を用いてDBAの原因遺伝子のコピー数解析系(DBA genomic copy number assay)を構築し、片アレル欠失変異の検出を試みた。DBAで変異報告のある11遺伝子(RPL5, L11, L19, L26, L35A, S7, S10, S17, S19, S24, S26)のゲノム領域上にそれぞれ2セットの定量PCRプライマーを設定した。それぞれのプライマー対による定量PCRのすべての増幅曲線がCt(threshold cycle)値で0.5サイクル以内に含まれるように各遺伝子特異的プライマーを選定した。このことにより遺伝子数2N(正常コピー数)とN(片アレル欠失)を定量PCRにおける約1サイクルの差として検出することが可能になった。 臨床症状からDBAと診断された小児の末梢血からゲノムDNAを抽出し、上記11遺伝子についてDBA genomic copy number assayを行った。その結果、RPL11に対する2セットのプライマーでの定量PCRの増幅曲線だけが他の遺伝子の増幅曲線に比べCt値で約1サイクル増加したことから、この患者ではRPL11の遺伝子数が健常人の半分のNであることが予想できた。この結果から、本研究で構築したDBAの遺伝子コピー数解析系は鋭敏に片アレル欠失を検出できることが明らかになった。
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