2011 Fiscal Year Annual Research Report
血小板および巨核球系ドック180ファミリーの生理的意義の解明
Project/Area Number |
21591230
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小田 淳 北海道大学, 大学院・医学研究科, 准教授 (50255436)
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Keywords | platelet / G-protein / actin / Rac |
Research Abstract |
本研究の主要対象の一つであるDOCK5では二つのN末端の異なるアイソフォームが存在することがデータベース上知られている.しかし,その両者がどのような組織や細胞で発現しているかに関しては簡便に検討する手段がこれまで知られていなかった.このことは,この二つのアイソフォームの生理的相異を検討する上で重大な障害である.報告者はその両者に共通するC末端配列に対して作製した特異抗体を用いて、ヒト血小板,A549(ヒト),Hela(ヒト) ,C2C12(マウス),MDCK(イヌ)細胞の細胞溶解液を免疫ブロット法でスクリーニングしたところ分子量180kDaのバンドがいずれにも認められた。しかし,A549に発現している,DOCK5のcDNAから予想されたN末端の配列に対する抗体を用いたところ,A549,C2C12,MDCK細胞の細胞溶解液ではC末端に対する抗体同様に180kDaのバンドが認められたが,血小板およびHela細胞では,全くバンドが認められなかった.即ち,血小板やHela細胞にはA549細胞からクローニングされたDOCK5アイソフォームは全く発現せず,もう一方のアイソフォームのみ発現することが明らかとなった.一方,C2C12やMDCKには,A549細胞からクローニングされたDOCK5アイソフォームに対応するものが発現していることが示唆された.この両抗体に認識されたバンドは,低Mg2+存在下で,グルタチオンセファロースに固相化されたGST-rac-1によりpull downされ,racのGEFである,DOCK5を正しく認識していることが確かめられた.このように血小板やHela細胞などは単一のDOCK5アイソフォームのみ発現しており,このアイソフォームを検討するのに有用な系であることが示唆されていると同時に,DOCK5の二つのアイソフォームのタンパクレベルの発現の簡便なスクリーニングが可能であることも示唆された.
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