2010 Fiscal Year Annual Research Report
複数臍帯血移植におけるドナー由来細胞の生着動態の解析
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21591232
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡辺 信和 東京大学, 医科学研究所, 特任准教授 (10334278)
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Keywords | 複数臍帯血移植 / キメリズム / HLAミスマッチ / 抗HLA抗体 / フローサイトメーター |
Research Abstract |
平成20年度、我々は3名の健常人末梢血で作製した人工キメリズム検体を10カラーFACS解析システムで解析し、白血球サブセットごとのキメリズム解析方法を報告した(石井有実子ら、Cytometry Research、18巻、31-34頁、2008年)。しかし、平成21年度の研究で、様々なHLAの組合せの人工キメリズム検体をFACS Aria I (Becton-Dickinson社、9カラー解析)で解析した結果、各蛍光色素間の蛍光の漏れ込みが大きく、染色性の優れたアリル特異的抗HLA抗体が不足しているため、キメリズム解析にしばしば支障を来すことが判明した。 平成22年度、我々は解析に用いるFACS機器をFACS Aria II(同社)に変更し、各蛍光色素間で蛍光の漏れ込みを最小限に抑えた11カラー解析に成功した。それにより、複数臍帯血移植を想定した3名の血液細胞の判別が、解析パラメーター数に余裕ができたためにより容易になった。一方、抗HLA抗体の作製を試みた結果、新たに染色性の良好なIgG型の抗HLA-B62抗体を作製し、本検査法の適応率が向上した。ところで、我が国における複数臍帯血移植の臨床第2相試験は平成22年3月に登録が終了し、現在結果の評価が行なわれている。新たなプロトコールの作成と臨床研究が実施される計画が無く、本研究で予定した臨床検体のキメリズム解析はその実施が不確定である。そこで平成23年度は、将来行なわれる複数臍帯血移植に備え、健常人血を使用した混合リンパ球培養を11カラーFACSで解析し、分取した各白血球分画の遺伝子およびタンパク質発現の解析システムを完成させることをめざすことにした。
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