2011 Fiscal Year Annual Research Report
複数臍帯血移植におけるドナー由来細胞の生着動態の解析
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21591232
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡辺 信和 東京大学, 医科学研究所, 特任准教授 (10334278)
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Keywords | 複数臍帯血移植 / キメリズム / HLAミスマッチ / 抗HLA抗体 / フローサイトメーター |
Research Abstract |
平成21年度、様々なHLAの健常人血を組み合わせて人工キメリズム検体を作製し、FACSAriaI(BD社)を使用してHLA-Flow法によるキメリズム解析を行った。その結果、蛍光色素間での蛍光の漏れ込み、および市販のIgM型の抗HLA抗体の染色性の問題に直面した。 平成22年度、フローサイトメーターをFACSAriaIIに変更し、使用する蛍光色素の組み合わせ工夫して、蛍光色素間で蛍光の漏れ込みを最小限に抑えた11カラー解析に成功した。また、研究室内で抗HLA抗体の作製を試み、新たに染色性の良好なIgG型の抗HLA-B62抗体を作製した。 平成23年度は、完成したllカラーのFACS解析で臨床検体を測定する予定であったが、我が国における複数臍帯血移植の臨床第2相試験は平成22年3月に登録が終了し、その後新たな複数臍帯血移植が実施されなかった。そこで平成23年度は、将来行なわれる複数臍帯血移植に備え、健常人血を使用した人工キメリズム検体をマルチカラーFACSで解析し、分取した各白血球分画の遺伝子発現解析システムを立ち上げた。解析対象の遺伝子は、IL-2、IL-4、IL-10、IL-17、IFNγ、TNFα、TGFβ、FasL、Perforinl、GranzymeA、GranzymeB、CCND1(CyclinD4)、CCR5、CCR7、CXCR3、GATA3などである。また、解析可能な蛍光色素数を12種類に増やし、PE-Cy5標識抗CD235a抗体を使用して解析から赤血球を除くことにより、キメリズム解析の精度を向上することに成功した。 本解析システムにより、移植後1~3週間におけるCD4+T細胞、CD8+T細胞の遺伝子発現解析が可能となる。その結果を移植後の生着動態や同種免疫反応と比較検討することにより、生着を促進する因子や、graft versus leukemia反応の本態について、より詳細なデータが得られる可能性がある。
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