2011 Fiscal Year Annual Research Report
新規リンパ球初期分化制御分子sFRP1の生理的機能と作用機序の解明
Project/Area Number |
21591241
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
横田 貴史 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (60403200)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
織谷 健司 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (70324762)
金倉 譲 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (20177489)
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Keywords | リンパ球前駆細胞 / 造血幹細胞 / Wntシグナル / sFRP |
Research Abstract |
私達は、妊娠期にリンパ球造血が著明に低下すること、さらにその現象にestrogenが関与していることを明らかにしてきた。その分子メカニズムの解明を目的に、骨髄間質細胞においてestrogen刺激で誘導される遺伝子を探索し、Wntシグナル調節分子でるsFRP1を同定した。SFRP1は培養系において、造血幹細胞分画からのBリンパ球分化を濃度依存性に抑制した。次に、生体内でのsFRP1およびそのファミリーの機能を明らかにするため、sFRP1とsFRP5の過剰発現マウスのモデルを作製し、解析を行った。これらのマウスの末梢血解析では、白血球数が有意に低く、特にBリンパ球数が著明に減少していた。予想外ではあるが、その抑制の程度はsFRP5マウスの方がsFRP1マウスよりも顕著であった。脾臓は生後6-7週の時点で既に野生型同胞と比較して明らかに小さく、細胞分画ではBリンパ球が顕著に減少していた。その一方で、胸腺の大きさやTリンパ球数には大きな変化を認めなかった。骨髄を詳細に検討したところ、リンパ球系幹細胞分画とされるLin^- ckit^<Lo> Scal^<-/Lo> IL7R^+分画中の有意な増加の一方で、proB細胞分画以降のBリンパ球前駆細胞が著明に減少していた。さらに、sFRP5過剰発現マウスの骨髄では、Lin^- ckit^<Hi> Scal^+ CD150^+ CD48^-の造血幹細胞分画およびLin^- ckit^<Hi>Scal^+造血幹/前駆細胞が、野生型同胞と比較して減少していた。これらのことから、sFRP過剰状態では造血幹細胞の維持の障害とリンパ球前駆細胞の分化異常という2つの問題が生じていることが示唆された。Top/galレポーターマウスとの交配によって、これらの未分化な造血前駆細胞分画におけるWntシグナル系を解析した結果、活性化している細胞集団の増加が認められた。以上の事から、sFRPの恒常的な過剰発現は、Wntシグナルの活性化を介して、造血細胞の初期分化に影響を与えていると考えられた。
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Research Products
(5 results)