2009 Fiscal Year Annual Research Report
免疫系は白血病幹細胞を拒絶できるか-ヒト化マウスを用いた解析-
Project/Area Number |
21591245
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
藤原 弘 Ehime University, 医学部附属病院, 講師 (20398291)
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Keywords | 細胞傷害性Tリンパ球(CTL) / T細胞受容体遺伝子(TCR)遺伝子 / 遺伝子導入 / 白血病性幹細胞 / 養子免疫療法 / 造血幹細胞移植 |
Research Abstract |
白血病細胞傷害性Tリンパ球(CTL)が、正常細胞と白血病細胞を区別して、白血病細胞だけを攻撃出来るのは、CTLが白血病細胞表面の組織適合性抗原HLAとがん抗原の複合体を特異的に認識出来ることによる。この最初の「白血病細胞の認識」という最も重要な部分を担当する、CTL上のT細胞受容体(T cell receptor : TCR)をコードする遺伝子を、各々HLA HLA-A*2402とA*0201上に拘束性に提示された、白血病性幹細胞に過剰に産生されている「がん抗原」WT1とAurora-A kinaseの2種類の抗原を認識傷害するCTLクローンからクローニングして、臨床的に使用できるレベル(GMPグレード)のレトロウイルスに組み込んだベクターを作成し、正常のヒトリンパ球に遺伝子導入した人工的なCTLを作成することに成功した。 これにより、CTLを利用した癌に対する養子免疫療法の臨床応用への大きな障害となっていた、十分な数のCTLを必要な時期に適宜用意することがほぼ不可能であった技術的問題をクリア出来た。さらに、目的のTCR遺伝子をT細胞に導入すると同時にT細胞が本来持っている内因性TCRを抑制するベクターを開発することで、目的の「がん抗原」特異的なTCR遺伝子の導入効率を高めて、投与された患者体内で、どのようにしてその効果を維持できるか、どの細胞に遺伝子導入すると、さらにTCR遺伝子導入された人工CTLの抗白血病効果が高められるか、方法を見出すことが出来た。この結果は国内外の学会で発表し、現在、論文執筆中である。さらに、臨床応用へ向けて、ヒト臍帯血造血幹細胞移植免疫不全マウス(ヒト化NOGマウス)の系を用いた検討段階に入り、患者白血病細胞を用いた白血病細胞性幹細胞への、この人工CTLの傷害活性の検討段階に入る段階に来た。
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Research Products
(22 results)