2011 Fiscal Year Annual Research Report
白血病細胞が産生する神経栄養因子による制御性T細胞誘導メカニズムの解明
Project/Area Number |
21591253
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
吉田 安宏 産業医科大学, 医学部, 准教授 (10309958)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塚田 順一 産業医科大学, 大学病院, 准教授 (20227367)
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Keywords | 白血病 / BDNF / Treg(制御性T細胞) / RhoA / NFAT |
Research Abstract |
申請者らは脳内で重要な役割りを果たす神経栄養因子の一つであるBDNFが、白血病細胞株から恒常的に産生されていることを見出し、初年度ではBDNFによる制御性T細胞の誘導をフローサイトメーターおよびウエスタンブロットにより確認し、昨年度は更なる詳細なメカニズムを解析した。 本年度は次のことが明らかになった。 1.BDNFはCD8陽性FoxP3陽性T細胞を誘導する CD8細胞においてもTrkBの発現が認められたことから、BNDFの刺激によるCD8T細胞におけるFoxp3とTrkBの発現をウエスタンブロットにより解析した。BDNFによりCD4T細胞よりは弱いものの、Foxp3の誘導が観察された。TrkBに関しては恒常的な発現に対して、大きな変化は認められなかった。 2.PI3K、グルココルチコイドレセプターはBDNF誘導の制御性T細胞において重要である 更なるシグナルパスウェイの関与を阻害剤を用いて解析した。PI3K-Aktシグナルの阻害剤およびグルココルチコイドレセプターの阻害剤により顕著なFoxp3の発現抑制が観察された。 3.BDNFはATL患者血清において検出される パイロットスタディとして健常人血清とATL患者血清を採取し、血清中サイトカインをELISAにより解析したところ、BDNF量が高値の患者血清も検出された。IL-21は、健常人と患者血清において有意な差は認められなかった。興味深かったのは、IL-27において、健常人では検出されなかったものの、患者血清では検出されたものもあった。 以上より、白血病細胞から産生されるBDNFは、免疫システムに対し抑制作用を持つ制御性T細胞およびその受容体を誘導し、さらには患者血清においてBDNFは高値を示すプライマリーデータが示唆された。
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Research Products
(7 results)