2009 Fiscal Year Annual Research Report
プロテオミクスを用いた人種別血管炎患者における抗血管内皮細胞抗体の対応抗原の同定
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21591273
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Research Institution | St.Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
唐澤 里江 St.Marianna University School of Medicine, 医学研究科, 講師 (50434410)
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Keywords | 血管炎 / 抗血管内皮細胞抗体(AECA) / プロテオミクス / 国際情報交換 / アメリカ(北米) |
Research Abstract |
【21年度の研究目的】1)我々が今までに日本人血管炎患者における抗血管内皮細胞抗体(AECA)の対応抗原と同定した、Peroxiredoxin2(Prx2)およびcyclophilin A(PPIA)の2つ蛋白に対する自己抗体測定を米国人血管炎患者血清(大型血管炎である高安動脈炎および巨細胞性動脈炎)を用いて行った。 2)1)の結果を日本人患者血清の場合と比較検討し、その臨床的意義について考察した。 【結果】1)米国人患者血清におけるPrx2およびPPIA、それぞれの蛋白に対する自己抗体陽性率は両者の大型血管炎ともに15%以下であった。2)日本人患者血清では上記2つの蛋白に対する自己抗体陽性率は両者とも85%以上であり、血管炎患者における米国人血清と日本人血清では明らかに異なっていることが示唆された。更に、日本人患者血清においては両蛋白の抗体価が疾患活動性と相関していたが、米国人患者血清では相関は認められなかった。また、血管炎患者血清を用いたWestern blotting(抗原として血管内皮細胞抽出蛋白を使用)を行ったところAECAの対応抗原候補蛋白が日本人患者血清と米国人患者血清では明らかに異なることが示唆された。 【考察】血管炎患者におけるAECAの対応抗原は日本人と米国人では大きく異なる可能性が示唆された。これらの結果からも、人種におけるAECAの対応抗原の検出・同定および人種間における比較検討は、血管炎の診断・治療、さらには血管炎の病態解明に非常に重要であると考えられた。22年度はこれらの結果を踏まえ、米国人血管炎患者血清を用いてAECAの対応抗原候補蛋白をプロテオミクスにより検出・同定していく。
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