2009 Fiscal Year Annual Research Report
関節炎モデルを用いた全身性炎症による心血管障害の機構解明と治療法開発
Project/Area Number |
21591274
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
守田 吉孝 Kawasaki Medical School, 医学部, 講師 (50346441)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 稔 川崎医科大学, 医学部, 講師 (70449891)
矢田 豊隆 川崎医科大学, 医学部, 講師 (00210279)
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Keywords | 関節リウマチ / アジュバント関節炎 / 関節炎モデル / アンジオテンシン / 内皮機能 / 活性酸素 / 血圧 / 血管障害 |
Research Abstract |
関節リウマチ(RA)患者は心血管イベント発症率が高く、生命予後を悪化させている。RAの動物モデルとしてよく知られているラットのアジュバント関節炎では、RA患者と同様の内皮機能障害が認められることを我々は以前に報告している。全身または局所のレニン・アンジオテンシン系(RAS)の活性化は、高血圧や高脂血症による血管病変の病態に関与していることが知られており、本研究では関節炎ラットの血管障害におけるRASの関与を検討した。 アンジオテンシンII(0.25mg/kg or 1mg/kg)をラットに持続投与したところ、関節炎モデルでは外因性アンジオテンシンIIによる血管反応性(昇圧・内皮障害・壁肥厚)が有意に増強していた。そこで、血管壁局所のアンジオテンシン1型受容体の遺伝子及び蛋白発現を検討したところ、関節炎ラットでは増強していることが明らかとなった。次に、関節炎発症時よりアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)のlosartan(3mg/kg)あるいはirbesartan(5mg/kg)を3週間経口投与したところ、関節炎の程度や血圧に変化なく、内皮機能障害は有意に改善した。血管内皮や平滑筋細胞の活性酸素産生はARB投与にて低下し、活性酸素産生に関与するNAD(P)H oxidaseの酵素活性と発現も低下していた。関節炎ラットの単離大動脈をARB存在下で18時間培養したところ、内皮依存性弛緩反応は有意に改善し、同薬剤が血管局所に直接的効果を有することを確認した。以上のとおり、我々はRASの活性化が関節炎モデルの早期血管障害に関与していることを明らかにした。本研究はRA患者の心血管イベント抑制におけるARBの有用性に一つの科学的根拠を与えるものである。
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Research Products
(1 results)