2010 Fiscal Year Annual Research Report
喘息感受性の候補遺伝子TSLPとSNPsによる発現調節
Project/Area Number |
21591290
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
原田 通成 独立行政法人理化学研究所, 免疫制御研究グループ, 研究員 (20333487)
|
Keywords | TSLP / 遺伝子多型 / SNPs / 気管支喘息 / 相関解析 / 重症度 / アレルギー疾患 / 呼吸機能 |
Research Abstract |
・TSLPはアレルギー発症に重要なサイトカインであるが、感染刺激による気道上皮細胞のTSLP遺伝子の発現とその転写制御のメカニズムを解明してきた。本研究では、体質による疾患と治療のメカニズムの一端にTSLP関与を明確にすることを目的とした。昨年度までに、小児喘息患者ならびに小児時より発症している成人喘息患者の検体と対照検体について疾患-対照相関解析の本試験をおこない、喘息発症と高い相関のある多型をTSLPプロモター領域に2箇所に見いだした。 本年度は、喘息関連SNPsに機能変化のメカニズムの解明を行った。また、臨床情報を基に、TSLP遺伝子多型と喘息の重症度の相関解析、さらに喘息薬による薬効に関連する多型の解析も行った。 1)喘息の発症の制御SNPの作用機序の解明 ・相関の示した多型の一つは、気道上皮細胞に対する感染疑似刺激でTSLPの発現活性が有意に増加した(rs3806933)。他の相関を示したSNP(rs2289276)においても、感染疑似刺激で転写調節因子AP-2αの結合に変化が生じることが明らかになった。 以上より、喘息の発症頻度が高い多型は、気道上皮細胞に対する感染時にはTSLP発現誘導が高くなることが示唆された。 2)喘息重症度とTSLP多型 ・臨床データを用いて被検者サンプルの統計処理を終了した。呼吸機能の改善率(ΔFEV1.0%など)とTSLP遺伝子多型の関連についてトレンド解析を大量データを用いて行った。成人喘息での呼吸機能に関連するTSLP遺伝子多型をイントロン2に存在するSNP(rs2289278)を見出した。一方、血中IgE濃度、好酸球数、重症度等の臨床データと相関する多型は認められなかった。 3)TSLP多型のハプロタイプ解析および喘息薬の影響 ・関連性が認められた多型のハプロタイプ解析から、もっとも高い相関が得られたハプロタイプでは、感染刺激時の気道上皮細胞のTSLP発現誘導を有意に上昇したが、それにたいしても、グルココルチコイドとβ2遮断薬の併用でTSLP産生の強い抑制を見いだした。
|
Research Products
(1 results)