2011 Fiscal Year Annual Research Report
喘息感受性の候補遺伝子TSLPとSNPsによる発現調節
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21591290
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
原田 通成 独立行政法人理化学研究所, 免疫制御研究グループ, 研究員 (20333487)
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Keywords | 遺伝子多型 / ウイルス / アレルギー・ぜんそく / 薬理遺伝学 / 気道上皮細胞 |
Research Abstract |
TSLPはアレルギー発症を引き起こすサイトカインであることが明らかになっている。本研究では、TSLP遺伝子領域に存在する遺伝子多型が小児喘息(639検体vsコントロール838検体)ならびに成人喘息(641検体vsコントロール376検体)の発症あるいは呼吸機能と高い相関があることを示してきた。さらに、プロモーター領域に位置する関連多型(rs3806933およびrs2289276)は、感染疑似物質poly(I:C)で刺激したヒト気道上皮細胞において、TSLP発現誘導活性を上昇させることを見いだした。また、喘息薬であるグルココルチコイドとβ2遮断薬は関連多型とは無関係に、気道上皮細胞のTSLP産生を抑制することを見いだした。 本年度は、poly(I:C)刺激時のTSLP発現量および喘息薬の産生抑制について、ヒト由来の複数の気道上皮細胞によりTSLP遺伝子の多型間の発現誘導活性の違い、および喘息薬の抑制作用の検証を試みた。喘息発症感受性アレル・ホモ、非感受性アレル・ホモおよびヘテロ遺伝子型の上皮細胞について、それぞれ2人に由来する培養細胞を収集して評価した。 その結果、いずれの上皮細胞においても、poly(I:C)刺激によるTSLP発現誘導作用と喘息薬による抑制効果が示された。このことは、気道上皮細胞は既存の喘息薬の標的組織の一つであることを示唆した。 しかし、その値のふれ幅は個体間差の影響が大きく、TSLP感受性遺伝子多型間の傾向を見いだすことは困難であった。感染刺激に関わる情報伝達分子群の遺伝子多型が喘息発症に関与することが、関連解析から示されている。これらの多型も考慮して解析する必要性が考えられた。
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Research Products
(2 results)