2010 Fiscal Year Annual Research Report
新興リケッチア感染症・日本紅斑熱の重症化機序解明と救命治療法の確立
Project/Area Number |
21591292
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
岩崎 博道 福井大学, 医学部, 准教授 (10242588)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高田 伸弘 福井大学, 医学部, シニアフェロー (90003409)
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Keywords | 日本紅斑熱 / サイトカイン / リケッチア感染症 / 新興感染症 / テトラサイクリン / ニューキノロン |
Research Abstract |
1. これまで確認された新興リケッチア感染症・日本紅斑熱(Japanese spotted fbver : JSF)の国内死亡例3例の詳細を確認した。全例、播種性血管内凝固(disseminated intravascular coagulation : DIC)を合併し、2例は多臓器不全に陥っていた。1例は生前に確定診断がついていない症例で、2例は5日後および2日後に治療が開始されていた。治療の内容は、1例はminocycline(MINO)単独、1例はMINOとciprofloxacin(CPFX)の併用であった。しかし、抗菌剤併用例のCPFXの追加投与は死亡直前であった。研究代表者が開催した第3回日本リケッチア症臨床研究会(2011年1月15-16日、大津にて)において、リケッチア感染症では、テトラサイクリン系薬剤とニューキノロン系薬剤を併用した場合、重症化する例が少ないことが報告されていることより、これらの薬剤の早期併用によりJSFを含むリケッチア感染症の重症例を救命できる可能性が示唆された。 2. Weil-Felix反応においてJSFの診断に用いられるプロテウス(OX-2)由来LPS 100μg/mlにより刺激した、ヒト単球・マクロファージ系のTHP-1細胞から産生されるtumor necrosis factor (TNF)-αは、一部のニューキノロン系薬剤の併用にって、テトラサイクリン系薬剤単独より抑制効果が増強された。リケッチア感染症重症例の背景にはSIRS (systemic inflammatory response syndrome)の存在があり、その発症に関与するTNF-α産生を抑制するためには、抗菌剤の併用(MINOおよびCPFX)が有効であることが示された。
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Research Products
(9 results)