2011 Fiscal Year Annual Research Report
中和単クローン抗体パネルを用いたAIDSワクチン開発
Project/Area Number |
21591295
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
松下 修三 熊本大学, エイズ学研究センター, 教授 (00199788)
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Keywords | ウイルス / 感染症 / 内科 |
Research Abstract |
HIV-1ワクチンの開発には、多くの期待が寄せられているが、効果が確認されたものはない。その理由の一つは、ウイルスの感染を中和する「中和抗体」の誘導が困難である点があげられる。我々は中和抗体パネルを作成し、中和抗体誘導の標的を検討してきた。昨年までに開発した抗体のパネルの中にgp120の構造を変化させ、別の中和単クローン抗体の中和感受性を著しく増強する抗体0.5δを見出し、gp120と0.5δの複合体をウサギに免疫し、SF162に対する強力な中和抗体が誘導されることを見出したが、臨床分離株への交差中和能を認めなかった。我々はまた、gp120の立体構造を変化させて、中和抗体の感受性を増強させるNDB556誘導体、YYA-021を用いて中和エピトープが露出するために至適と考えられる条件で免疫したが、交差中和能を誘導できなかった。本年度は新たに作成した抗体パネルの中に、gp120がcD4と結合後に露出するエピトープであるCD4iに対する複数の抗体を同定し、そのうちの2種類にサブタイプを超える交差反応性と中和活性を認めた。反応するエピトープは、ケモカインレセプター結合部位にoverlapする部分と考えられ、エンベロープ蛋白の保存された領域と考えられるが、立体構造エピトープであるために、人工的な抗原でこれを誘導するのには困難がある。最近、HIV感染症例より分離された交差反応性の抗体の多くは立体構造エピトープを認識するものであり、これまで行われてきたような方法では誘導困難ではないかと考えられる。エピトープの同定に加えて、能動免疫の抗原提示と感染者の体内でのB細胞への抗原提示がどのように異なるのか、どのようにして交差反応性の抗体が誘導されるのかという基礎研究が必要である。
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Research Products
(11 results)