2010 Fiscal Year Annual Research Report
インフルエンザウイルスによるIFN-αシグナル伝達遮断のメカニズム
Project/Area Number |
21591297
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
上谷 光作 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (10244758)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村垣 泰光 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (40190904)
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Keywords | インフルエンザウイルス / インターフェロン / シグナル伝達 / Stat1 / NS1蛋白 |
Research Abstract |
インフルエンザウイルスH3N2型をヒト肺腺癌細胞株A549細胞に感染させ,8時間後インターフェロン(IFN)-α 1,000U/mlで刺激すると,IFNシグナル伝達経路の最下流に位置するStat1の701チロシン残基のリン酸化は完全に消失していた.従ってIFNが持つ抗ウイルス作用はインフルエンザウイルスには無効であることが示唆された.その原因を探るためIFNシグナル伝達経路構成分子であるIFNGR1, IFNGR2, Jak1, Jak2, Stat1の5つ分子についてmRNAと蛋白発現を検討した。mRNA発現量はウイルス非感染細胞と感染細胞で顕著な差を見出せなかった.しかし蛋白発現量の検討では,IFNGR1とJak1がウイルス感染細胞で選択的に抑制されており,他の分子の発現量に有意差は認めなかった.次にStat1リン酸化抑制が感染細胞内で発現されるウイルス蛋白分子に起因するものか検討をおこなった.ウイルス感染細胞内ではHA, NA, M1, M2, NP, PB1, PB2, PA, NS1, NS2の10個のウイルス蛋白が作られる.この中でどのウイルス蛋白がIFNシグナル伝達を遮断する原因分子であるか検討した.最初,IFN antagonistとして知られるNS1蛋白がIFN刺激によるStat1チロシンリン酸化を抑制する原因分子と想定し,NS1蛋白発現プラスミド(pCAGGS-NS1)をA549細胞に導入を試みたが効率が悪く,ヒト胎児腎細胞HEK293細胞に導入し,NS1蛋白を十分量発現させ,その後IFNで刺激しStat1チロシンリン酸化を検討した.その結果,NS1蛋白はStat1チロシンリン酸化を抑制しなかった.即ち,NS1蛋白はIFNシグナル伝達遮断のメカニズムは関与しないことが証明された。今後他のウイルス蛋白分子について同様の検討を行う.
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Research Products
(1 results)