2009 Fiscal Year Annual Research Report
マイコプラズマ肺炎のマウスモデルの解析と治療への応用
Project/Area Number |
21591298
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
後藤 元 Kyorin University, 医学部, 教授 (80134617)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 裕雄 杏林大学, 医学部, 助教 (50407053)
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Keywords | 感染症 / シグナル伝達 / マイコプラズマ / デキサメサゾン / クラリスロマイシン |
Research Abstract |
I. 具体的内容 (1) 背景 これまでに、我々は、マイコプラズマ肺炎マウスモデルを確立した。本マウスの気管支肺胞洗浄液中のサイトカインを経時的かつ網羅的に測定したところ、1日目にピークを持つサイトカインと2日目にピークを持つサイトカインがあることが判った。 (2) 平成21年度の研究結果 さて、平成21年度は、本マウスを用いて、Clarithromycin (CAM)とDexame thasone (DEX)が炎症に与える効果を検討した。興味深いことに、CAM投与群では、気管支肺胞洗浄液中のIL-6やTNF-αに代表される一群のサイトカイン濃度が上昇した。これらは、第1日目あるいは第2日目のいずれに濃度のピークを持つかとは無関係であった。ステロイドの単独投与は、この群のサイトカインレベルに有意な影響を及ぼさなかった。 その一方でIL-17などCAMやDEX投与の影響を受けないサイトカインも存在した。 ステロイドとクラリスロマイシンの共投与により、クラリスロマイシンで増加作用を認めたサイトカインと影響をほとんど受けないサイトカインの両者とも抑制した。 (3) 考察 クラリスロマイシンについてのこれまでの報告、あるいは、クラリスロマイシンで増加作用を示したサイトカインのパターンを考察したところ、本モデルマウスではNF-kBを介する細胞内シグナル伝達の活性化が重要な機能を果たしていると考えられた。 II. 意義と重要性 クラリスロマイシンには、抗微生物作用と免疫調整作用があると考えられている。我々のマウスモデルにより、クラリスロマイシンが免疫調整作用を有する可能性が示唆された。また、そのメカニズムの一つにNF-kBを介する細胞内シグナル伝達をコントロールすることにより遺伝子発現を制御している可能性が示唆された。 本モテルを使用してクラリスロマイシンの免疫調整作用の解明とマイコプラズマ感染症の病態態を検討することが可能と考えられる。
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Research Products
(12 results)