2010 Fiscal Year Annual Research Report
マイコプラズマ肺炎のマウスモデルの解析と治療への応用
Project/Area Number |
21591298
|
Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
後藤 元 杏林大学, 医学部, 教授 (80134617)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 裕雄 杏林大学, 医学部, 助教 (50407053)
|
Keywords | 感染症 / シグナル伝達 / マイコプラズマ肺炎 / デキサメサゾン / クラリスロマイシン |
Research Abstract |
マイコプラズマ肺炎患者の臨床的観察より、マイコプラズマ肺炎は「宿主免疫反応」の過剰な反応であることが推定されている。さらにマクロライド系抗菌薬は、抗菌作用だけでなく、「免疫調整作用」も有する。以上より、我々は、マイコプラズマ肺炎をマクロライド系抗菌薬で治療する、ということは、実は、「肺炎マイコプラズマ感染が惹起した宿主免疫の過剰反応をマクロライドの免疫調整作用により、制御することである。」という仮説を立てた。本仮説を検討するため、マイコプラズマエキスを用いたマウスモデルを作成し、研究を行っている。 (1)研究の成果 マイコプラズマエキスを用いて作製したマイコプラズマ肺炎マウスモデルをクラリスロマイシン、デキサメサゾン、あるいは、その両者を投与し解析した。炎症性サイトカイン、ケモカインを網羅的に測定したところ、クラリスロマイシンとデキサメサゾンがマイコプラズマ肺炎へ与える影響が2パターンあることが判った。クラリスロマイシンやデキサメサゾンがNF-kBを介した細胞内シグナル伝達を制御することから、いずれか一方のパターンに属する炎症がNF-kBに関連するものと考えられた。 (2)研究成果の意義、重要性等 本年の研究により、マイコプラズマ肺炎がNF-kBを活性化して宿主免疫の過剰反応を惹起している可能性が示唆された。マイコプラズマ肺炎に罹患すると、気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患などの気道の炎症性疾患を悪化させることは知られており、そのメカニズムとしてNF-kBを介する細胞内シグナルの活性化が想定されていた。我々の研究結果は、マイコプラズマ肺炎発症にNF-kBの活性化が関与を示す間接的なエビデンスと考えられる。
|
Research Products
(5 results)