2011 Fiscal Year Annual Research Report
ハンセン病70年の医学的検証:らい菌、結核菌、C型肝炎ウイルスの遺伝子解析
Project/Area Number |
21591303
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
寺本 英巳 藤田保健衛生大学, 医学部, 学部研究生 (80304236)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堤 寛 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (80138643)
牧野 正直 藤田保健衛生大学, 医学部, 客員教授 (00116097)
釜洞 俊雄 鳥取大学, 医学部, 准教授 (30144520)
塩竈 和也 藤田保健衛生大学, 医学部, 助教 (10387699)
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Keywords | 感染症学 / ハンセン病 / C型肝炎 / 結核 |
Research Abstract |
厚生労働省が全国13ヵ所の国立ハンセン病療養所の入所者を対象にしたC型肝炎ウイルス検査を行い、入所者全体の11.7%が感染していることが報告されている(2002年)。今回、剖検病理サンプルを使用してC型肝炎の感染調査をおこなった。国立療養所邑久光明園には820例あり、全国の約60%にあたることから、邑久光明園入所者のカルテを検索すると1940年から1999年の間に996名が剖検がされており、肝硬変で死亡した入所者は1940-1949年604名中8名(1.3%)、1950-1959年62名中0名(0%)、1960-1969年114名中12名(10.5%)、1970-1979年46名中3名(6.5%)、1980-1989年11名中9名(8.1%)、1990-1999年59名中4名(6.8%)であった。このことは、1940年台に院内感染によりC型肝炎に感染した入所者が20年の時を経て肝硬変に,30年の時を経てHCC移行したことが考えられた。ホルマリン固定肝硬変患者の肝臓53名からRNAを抽出したのち、HCV遺伝子解析(genotyping)をおこなったところ35名でHCV RNAを検出できた。この中でgenotype 1bの30名についてNS5B領域をRT-PCRしたところ12例で増幅でき、シークエンスを行った。塩基配列はすでにGenbankに報告されているgenotype 1b例のNS5B領域の塩基配列とともにMEGA5 softを用いて樹形図を作成したところ、3つの群からなることがわかった。それぞれの群には1940年代、1960年代、1980年代のサンプルが含まれていた。この事実は1938年にこの療養所が開設され、閉鎖された療養所であり、針やメスを研いだりして再利用していたことを考慮すると、1940年代に療養所に入所した患者が持ち込んだHCVが70年間療養所内で蔓延してきた可能性を証明したと考えれて、論文報告を行なった(J Clinical Microbiology 2011)。 同様に肺結核の療養所内での蔓延についてホルマリン固定肺結核患者の肺についてPCRを行なって検出を試みた。結核菌そのものではPCR増幅によるVNTR法を確立しているものの、ホルマリン固定組織からの結核菌については成功していない。現在色々抽出条件、primer設計の検討を行なっている。
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Research Products
(1 results)