2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21591304
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
宮下 修行 川崎医科大学, 医学部, 准教授 (50278917)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾内 一信 川崎医科大学, 医学部, 教授 (80351899)
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Keywords | 適正抗菌薬使用 / マイコプラズマ / 肺炎クラミジア / 迅速診断 / 簡易診断 / イムノクロマトグラフィー法 / LAMP法 / 臨床鑑別法 |
Research Abstract |
マイコプラズマおよび肺炎クラミジアの精製抽出菌体を使用したイムノクロマトグラフィー法を開発した。本法はIgM抗体を定性的に検出する方法で、5分以内に判定可能な迅速性を主目的とし、かつ実地医療で使用可能な簡便性を兼ね備えている。基礎検討では、高い特異性と再現性を確認し、経時的に採取されたマイコプラズマ肺炎と肺炎クラミジア肺炎症例の血清を使用したELISA法との比較検討でも同様の抗体推移を示していた。急性呼吸器感染症患者を対象とした多施設共同研究でも、世界標準法と良好な相関性(感度97%,特異度81%)が示され、本検査法の有用性が示唆された。 抗体検出法に加え、サーマルサイクラーなど特別な機器を必要としない遺伝子アッセイ系-LAMP(loop-mediated isothermal amplification)法の有用性に関する多施設共同研究も同時に施行した。急性呼吸器感染症患者を対象とし、従来から用いてきたreal-time polymerase chain reaction法との比較検討で良好な相関性を認め(感度97%,特異度98%)、実地医療での本検査法の有用性が示唆された。 さらに臨床像から迅速かつ簡便に非定型肺炎を拾い上げる方法を考案した。大項目が4つと小項目が4つからなる鑑別表を作成し、多施設共同研究で肺炎症例を対象に本法の有用性を検討した。年齢別に感度と特異度が異なることが判明し、とくに10歳、20歳台では感度、特異度ともが90%以上と、若年成人群では本鑑別法がきわめて有用であることが示された。しかし、年齢が上昇するとともに感度、特異度とも低下し、50歳以上では感度が70%以下であった。したがって、本鑑別法は50歳未満の症例で使用すべきであり、実地医療で経験する50歳以上の肺炎症例では非定型病原体と細菌の両者をカバーする抗菌薬の選択をすべきと考えられた。
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