Research Abstract |
日本人Charcot-Marie-Tooth(CMT)病では,病因が同定されない症例が多い.私たちは,既知の病因遺伝子について,DHPLC法を用いて点変異を,MLPA法用いて量的変化について検索した. 対象は,1996年から2009年までに遺伝子検索依頼があった臨床的に髄鞘型CMT病と考えられた症例216例と軸索型CMT病127例である.Southern blot hybridization法またはFISH法で17q11.2領域の重複を認めなかった症例である.DHPLC法による検索では,髄鞘型CMT病において、MPZ変異20例,GJB1変異19例,PMP22変異10例に,NEFL変異8例,EGR2変異1例に、PRX変異4例に遺伝子変異を認めた.軸索型CMT病では,MFN2変異14例,MPZ変異5例,GJB1変異6例,GARS変異1例,GDAP1変異を1例検出した.また、2例のdistal HMNでHSP27の変異を認めた.MLPA法では,髄鞘型CMT病の3例でPMP22の重複が検出された.FISH法で欠失を認めた1例で,他方PMP22アリルのexon5の欠失認めた.以上の解析から,日本人CMT病では,CMT1A重複の頻度は23%と高くない.日本人CMT1Aの症例は,罹患を自覚せず,医療機関を受診していない可能性が考えられる.MLPA法による量的変化の検索については,PMP22のみ検出された.PMP22は,遺伝子構造の特徴から,量的変化を起こし易く,また量的変化により発症するため高頻度に検出されたと考える.また,MLPA法は,FISHでは検出不能である小欠失の検出に有用であった.日本人におけるCMT病では、多くの症例において病因遺伝子が特定されず、新たな候補遺伝子の検索を行う必要がある.
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