2010 Fiscal Year Annual Research Report
早産低出生体重児の生体環境偏移の長期評価とその対策:「成人病胎児期発症説」の検証
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21591314
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
塚原 宏一 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (90207340)
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Keywords | 早産低出生体重児 / 成人病胎児期発症説 / 一酸化窒素 / asymmetric dimethylarginine / 肝内門脈-体静脈シャント / 高シトルリン血症 / 高アンモニア血症 |
Research Abstract |
本研究者は、ヒトの生体制御において一酸化窒素(NO)をとりまくL-arginine/NO合成酵素/NO系とPRMT/asymmetric dimethylarginine(ADMA:内因性のNO合成阻害因子)/DDAH系の相互作用が重要であるという仮説を持っている。これらの系を追究することは、複雑な生体ネットワークの生物学的理解をさらに進めるだけでなく、多様な疾患群の予防・治療、身体機能維持、QOL向上を目指した新規の低侵襲的で効果的な管理法の開発につながると考えられる。以下に本年度の研究成果を示す。 (1)先天性肝内門脈-体静脈シャントの患者では、血中ADMA、endothelin-1が高く、血中NOが低く、血中TBARSなどの酸化ストレスマーカーが高かった。シャント率は血中ADMA、ADMA/NO比と正の相関を示した。門脈-静脈シャント自体がNO-ADMA系でのADMA優位、酸化ストレス亢進をもたらすこと、肝臓がレドックス制御の重要臓器であることが示唆された。(2)尿素サイクル異常症患者、特に高シトルリン血症患者では、血管内皮機能不全の発症リスクが高いこと、それはNO機能低下、酸化ストレス亢進と連関することを提唱した。(3)オルニチントランスカルバミラーゼ欠損症患者では、4-phenylacetate(4-phenylbutyrate)が肝臓の胆汁酸排泄を増すことで肝臓機能改善に有効であることを示した。胆汁酸毒性が問題になる肝臓疾患での応用が期待された。
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Research Products
(5 results)