2011 Fiscal Year Annual Research Report
早産低出生体重児の生体環境偏移の長期評価とその対策:「成人病胎児期発症説」の検証
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21591314
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
塚原 宏一 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (90207340)
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Keywords | 小児疾患 / 酸化ストレス / レドックス / 広汎性発達障害 / フェニルケトン尿症 / 脳障害 / 骨減少症 / 生体マーカー |
Research Abstract |
本研究者は、小児疾患の病態生理において酸化-抗酸化バランス、レドックス破綻が重要であるという仮説を持っている。レドックス制御系を追究することは、複雑な生体ネットワークの生物学的理解をさらに進めるだけでなく、多様な疾患群の予防・治療、身体機能維持、QOL向上を目指した新規の低侵襲的で効果的な管理法の開発につながると考えられる。以下に本年度の研究成果を示す。 (1)広汎性発達障害・自閉症の小児患者では尿中acrolein-lysine排泄が健常対照よりも有意に高かった。1次的か2次的かは明らかではないが、このような児は酸化ストレス亢進状態にあることが示された。(2)フェニルケトン尿症の小児患者では、血中フェニルアラニン濃度と以下の血液パラメーターが有意に相関した(酸化度を示すTBARS-正、MDL-LDL-正、抗酸化能を示すTAR-負、GPX-負、SOD-正、CAT-正)。6つのパラメーター毎に患者の計測値を点数化(各0~2点)したところ、血中フェニルアラニン濃度が700~800umol/Lで点数総計が3~4点から7~8点に急激に増加した。700~800umol/Lはちょうど脳MRでも異常信号が検出される濃度であった。フェニルケトン尿症の脳障害発現に酸化ストレス亢進が関与することが示された。(3)フェニルケトン尿症の小児患者では、酸化ストレス亢進に伴って骨吸収促進型の骨減少症を呈することが示された。 以上、生体マーカーという新規の低侵襲的な評価法が慢性疾患患児の管理に有用であることが示唆された。
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Research Products
(5 results)