2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21591322
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
酒井 規夫 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (30314313)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷池 雅子 大阪大学, 連合発達学研究科, 教授 (30263289)
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Keywords | I-cell病 / G1cNAc-phosphotranspharase / ライソゾーム病 / 病態解析 / ムコリピドーシス / ライソゾームのpH |
Research Abstract |
交付申請書においてはH22-H23に渡って、変異蛋白の解析、疾患細胞に対する酵素補充実験、シャペロン物質の検索などを計画したが、目的を達する下記のような実績を出すことができた。 1)I-cell病の疾患細胞を用いて、オートファジー亢進、ミトコンドリア形態異常などは前年度までに報告したが、今年度はさらに蓄積している種々の基質の定量、ライソゾーム量の増加、ライソゾームのpH変動、エンドサイトーシスの異常、マンノース6リン酸レセプターの運搬などについて詳細に解析した。これにより、今までわかっていなかったI-cell病における細胞内病態の詳細が判明し、JBCに報告した。主な結果はライソゾームの基質のPhospholipid, Cholesterolについてその蓄積量を正常細胞と比較し、2倍程度に増加していることを確認し、ライソゾーム量をLysoTrackerの染色性を用いて定量し、正常細胞に比し約3倍に増加していることを見出した。またライソゾームのpHが正常では4.8程度であるのがI-cell病では5.3にアルカリ化していることを見いだし、BODIPY-Cerを用いたエンドサイトーシスの解析では正常ではゴルジに一定時間で達するのが、疾患細胞ではエンドソーム、ライソゾームに長時間滞在することが判明し、マンノース6リン酸レセプター抗体を用いた実験で、マンノース6リン酸レセプターが細胞膜から取り込まれた後、I-cell病ではゴルジ領域に集積していることが確認された。 2)酵素補充実験として、この疾患では複数の酵素が欠損しているため、このライソゾーム酵素の複合液を、正常培養細胞に塩化アンモニウムを処理すると、多くのライソゾーム酵素が培養液中に排出されることを用いて作成を試みた。この培養液を数倍に濃縮した後、疾患細胞に添加し、上記で調べた病態がどのように変化するかを調べた。その結果、上記のすべての評価項目において、細胞の病態が正常化することを確認し、報告した。
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Research Products
(6 results)