2011 Fiscal Year Annual Research Report
IGF-I受容体異常症の解明:新規変異遺伝子の探索と機能解析および表現型の検討
Project/Area Number |
21591324
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
神崎 晋 鳥取大学, 医学部, 教授 (90224873)
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Keywords | IGF受容体 / 低身長 / インスリン様成長因子 / IGF-I不応症 / インスリン受容体 / インスリン受容体異常症 |
Research Abstract |
1.変異IGF-1受容体(IGF-IR)(R431L)の機能解析: 共焦点顕微鏡を用いてSGA性低身長症をきたした変異IGF-IR(R431L)の機能解析を行った。変異IGF-IR遺伝子を細胞に組み込み、IGF-Iで刺激した後にIGF-IRに対する蛍光抗体で染色して細胞表面から細胞内へのIGF-I/IGF-IR複合体の移行を経時的に観察した。野生型IGF-IRに比較して、変異IGF-IRではIGF-I/IGF-IR複合体の細胞内への移行が障害されていた。 よって、変異IGF-IR(R431L)はIGF-I/IGF-IR複合体の細胞内への移行(内在化)障害により、細胞内情報伝達が阻害され、IGF-IRの機能異常をきたすことが証明された。 2.インスリン受容体(INSR)異常症(妖精症)の遺伝子解析: IGF-IRと類似した構造をしめすINSR異常症(妖精症)のINSR遺伝子解析を行った。その結果、INSR遺伝子に複合ヘテロ異常(T910M、E1047K)を見出した。T910Mではproreceptorが切断されて成熟受容体へ移行する切断部位の障害により成熟したINSRが作られないことが示された。一方、E1047Kではインスリンによるチロシンリン酸化の障害により、インスリン刺激を細胞内へ伝達出来ないことが明らかとなった。また、本症の高血糖に対してインスリンの代わりにrhIGF-Iによる治療を行ったところ、不十分ながら血糖の改善が得られた。 IGF-IRとINSRは極めて類似した構造を有しているため、本INSR異常症で見られた変異はIGF-IR受容体異常症の解明に寄与する。
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