2010 Fiscal Year Annual Research Report
発達障害に対する科学的根拠に基づいた薬物早期介入療法開発の基礎的研究
Project/Area Number |
21591335
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
永野 昌俊 日本医科大学, 医学部, 講師 (60271350)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 秀典 日本医科大学, 大学院・医学研究科, 教授 (30221328)
坂井 敦 日本医科大学, 医学部, 助教 (30386156)
羽田 栄輔 日本医科大学, 大学院・医学研究科, ポストドクター (30453921)
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Keywords | 脳・神経 / ストレス / 早期介入 / SSRI |
Research Abstract |
哺乳類において、胎児期および生後間もない時期は脳神経系の発達にとって重要な時期である。妊娠後期のラットを用い、母体に負荷したストレスが子の脳神経系の発達に与える影響を解析するために、ストレス負荷と同様の効果を持つと考えられる糖質コルチコイド投与を行った。妊娠後期~出産時まで糖質コルチコイドを投与された母親から生まれたオスの子供において、成長後に不安様行動が引き起こされることが判った。この成長後の不安様行動が出現する前の段階において、不安病態誘導に関与すると考えられる脳内分子変化を観察したところ、セロトニンの1A受容体のmRNAが前頭前野で生後4、10、13週において、脳由来神経栄養因子(BDNF)のタンパク質は前頭前野と海馬で生後4週において減少が観察された。一方、セロトニン2A受容体のmRNAは前頭前野において変化しないことが判った。 これらの分子的および行動的な変化は生後の3週間にわたるセロトニン選択的再取り込み阻害薬を処置することによって改善されることが明らかになった。発達段階にある神経系の異常は、やはり発達段階において早期に対処することが後々の異常を未然に防ぐ一つの有効な手段であることが判明した。 生後発達段階におけるセロトニン1A受容体とBDNFが不安症状を引き起こすのに重要な役割を果たす分子であることが示唆されたが、発症におけるそれらの分子機構には不明な点が多く、それらを明らかにすべく、研究を続けている。
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