2010 Fiscal Year Annual Research Report
オリゴDNAアレイCGH法を用いた自閉症の分子遺伝学的基盤の解明
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21591341
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Research Institution | National Research Institute for Child Health and Development |
Principal Investigator |
小崎 里華 独立行政法人国立成育医療研究センター, 医長 (50234745)
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Keywords | オリゴDNAアレイ / CGH法 / 自閉症 |
Research Abstract |
自閉症は社会的な相互交渉の質的な障害・コミュニケーション機能の質的な障害・活動と興味の範囲の著しい限局性の3つを主な特徴とする発達障害である。強い遺伝的素因を伴う生物学的基盤があると考えられているが、原因を特定できる症例は10%程度に限られている。 前年度同様に、引き続き、自閉症スペクトラム群と評価された患者を対象とし、症例を集積し解析を行った。 〈自閉症の解析に特化したオリゴDNAデザインアレイによる解析〉 60塩基程度の合成DNAプローブをスライドグラス上に配置する。ゲノム全域に計6万個程度のプローブを配置するが、とくに、(1)X染色体上の遺伝子、(2)欠失によって発達遅滞をともなう奇形症候群を発症する遺伝子(コルネリア・デランゲ症候群,ルビンシュタイン・タイビ症候群等30種の症候群)上に特異的にプローブを配置したデザインアレイを用いて、症例の解析を行い、微細なゲノム構造異常を同定した。さらに高密度にプローブを配置したアレイ(244,000~1,000,000)を用いる解析法を検討する。(3)自閉症関連遺伝子(NLGN3,NGLN4,NRXN1,SHANK3,CNTNAP2,PCDH10,CNTN3,NHE9,NHE6,DIA1,A2BP1)およびその相同遺伝子や、上流・下流に位置する遺伝子、全ゲノム上で、計71個の遺伝子の近傍にプローブを重点的に配置したデザインアレイを設計した。本アレイを用いて検体解析を行う予定である。また、解析の結果、6q14.2-15領域に約5.4Mbの中間部重複を検出した。重複領域内にはGABA受容体GABRB3遺伝子を含んでいた。染色体異常を伴う自閉症スペクトラム障害の中で、最も頻度が高い異常はGABA受容体である。GABA受容体のGABRB3の重複が認められたことは、自閉症の発症機構におけるGABA受容体の関与を示唆するものである。今後、更に、解析をすすめていく。 倫理的配慮:「アレイCGH法を用いた発達遅滞患者における微細な染色体構造異常の同定」研究として、当センター倫理委員会で、承認済みである。
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Research Products
(5 results)