2011 Fiscal Year Annual Research Report
オリゴDNAアレイCGH法を用いた自閉症の分子遺伝学的基盤の解明
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21591341
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Research Institution | 独立行政法人国立成育医療研究センター |
Principal Investigator |
小崎 里華 独立行政法人国立成育医療研究センター, 器官病態系内科部・遺伝診療科, 医長 (50234745)
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Keywords | オリゴDNAアレイ / CGH法 / 自閉症 |
Research Abstract |
自閉症は社会的な相互交渉の質的な障害・コミュニケーション機能の質的な障害・活動と興味の範囲の著しい限局性の3つを主な特徴とする発達障害である。強い遺伝的素因を伴う生物学的基盤があると考えられているが、原因を特定できる症例は10%程度に限られている。 前年度同様に、自閉症スペクトラム群と評価された患者を対象とし、症例を集積し解析を行った。 <自閉症の解析に特化したオリゴDNAデザインアレイによる解析> 60塩基程度の合成DNAプローブをスライドグラス上に配置する。ゲノム全域に計6万個程度のプローブを配置するが、とくに、(1)X染色体上の遺伝子、(2)欠失によって発達遅滞をともなう奇形症候群を発症する遺伝子(コルネリア・デランゲ症候群,ルビンシュタイン・タイビ症候群等30種の症候群)上に特異的にプローブを高密度にプローブを配置したアレイ(244,000~1,000,000)(3)自閉症関連遺伝子(NLGN3,NLGN4,NRXN1,SHANK3,CNTNA2,PCDH10,CNTN3,NHE9,NHE6,DIA1,A2BP1)およびその相同遺伝子や、上流・下流に位置する遺伝子、全ゲノム上で、計71個の遺伝子の近傍にプローブを重点的に配置したデザインアレイを設計した。(1)~(3)のアレイフォーマットを用いて検体解析を行った。解析の結果、本年度は、2p16.3領域に約6.6Mbの中間部欠失を同定した。欠失領域内にはNRXN1遺伝子を含んでいた。NRXN1遺伝子は、細胞接分子neurexin familyに属し、神経シナプス前終末に存在する。NRXNはシナプス後膜のNLGNと複合体を形成し、後膜のGABA受容体やグルタミン受容体を介する神経伝達において重要な役割を果たす。NRXN1遺伝子欠失が臨床症状自閉症の発症機構において重要な関与を示唆するものであることが推察された。 倫理的配慮:「アレイCGH法を用いた発達遅滞患者における微細な染色体構造異常の同定」研究として、当センター倫理委員会で、承認済みである。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Clinical application of array-based comparative genomic hybridization by two-stage screening for 536 patients with mental retardation and multiple congenital anomalies2011
Author(s)
Hayashi S, Imoto I, Aizu Y, Okamoto N, Mizuno S, Kurosawa K, Okamoto N, Honda S, Araki S, Mizutani S, Numabe H, Saitoh S, Kosho T, Fukushima Y, Mitsubuchi H, Endo F, Chinen Y, Kosaki R, Okuyama T, Ohki H, Yoshihashi H, Ono M, Takada F, Ono H, Yagi M, Matsumoto H, Makita Y, Hata A, Inazawa J
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Journal Title
J Hum Genet
Volume: 56(2)
Pages: 110-24
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