2009 Fiscal Year Annual Research Report
アレルギー発症予知のための臍帯血単核球網羅的遺伝子発現研究
Project/Area Number |
21591346
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
下条 直樹 Chiba University, 大学院・医学研究院, 准教授 (40221303)
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Keywords | 臍帯血 / マイクロアレイ / アレルギー / Toll様受容 |
Research Abstract |
千葉市で設定した250名の出生コホートについて、生後7か月から1歳時におけるアレルギー発症の有無にもとづき、アレルギー発症児、非発症健康児に群別した。この中からアレルギー発症児3名、非発症児3名の凍結臍帯血単核球を解凍して、LPS(TLR4リガンド)で刺激した。刺激後6時間のmRNAを採取後、各群のmRNAをプールしてAffymetrix社GeneChip^[○!R] Human Genome U133 Plus 2.0 Arrayにより、アレルギー発症児、非発症健康児間でmRNA発現の差異を網羅的に比較解析した。その結果、複数の分子のmRNA発現について差異が認められた。アレルギー発症群で非発症群に比してインターロイキン10(IL-10)ならびにIndoleamine 2,3-dioxgenase(IDO)のメッセージが有意に低値であった。そこで、アヒルギー発症児5名、非発症児5名の臍帯血単核球をLPS,Pam3CSK4(TLR2リガンド)、Poly I:C(TLR3リガンド)で刺激し、6時間後のmRNA発現をreal time PCRにより半定量的に比較した。すべてのTLRリガンド刺激でMyD88 mRNA発現にはアレルギー発症群、非発症群間で差異はなかった。TLR2,3,4刺激でのIL-10mRNA発現は発症群において非発症群よりも有意に低値であった。IDO mRNA発現については、TLR4刺激でのみ発症群で非発症群間に比べて有意に低値であった。TLR2およびTLR3刺激では差異はなかった。Myd88非依存性のインターフェロンα(IFN-α)についてはすべてのTLR刺激で発症群と非発症群で差異は認めなかった。以上の結果から、1歳までのアレルギー発症には出生時の免疫担当細胞からの免疫制御分子の発現低下が関与することが示唆された。
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