2009 Fiscal Year Annual Research Report
小児血液腫瘍性疾患に対する抗腫瘍効果のみを増強した新たな造血幹細胞移植療法の開発
Project/Area Number |
21591351
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
西村 良成 Kanazawa University, 附属病院, 講師 (50324116)
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Keywords | 造血幹細胞移植 / IL-17 / CIK / GVHD / GVT |
Research Abstract |
本年度は、まず骨髄移植モデルマウスの担癌モデルを作製するためにマウスリンパ腫・白血病細胞株であるBCL1ならびにA20細胞株にGFP遺伝子を導入した。その結果、骨髄移植による抗腫瘍効果がマウスを殺傷することなくリアルタイムでイメージング化に成功した。次にIL-17ノックアウトマウスから抗腫瘍効果の担い手と考えているCytokine induced killer(CIK)細胞を大量培養しIL-17ノックアウト状態に関係なくこの細胞群が試験管内で野生型のCIK細胞と同様の性質を有することを確認した。また本年度の予定としてあった慢性GVHDの進行にIL-17が関与しているかどうかを検討した。野生型マウスを用いて慢性GVHDを発症させた群は、IL-17ノックアウトで発症を試みた群と比べGVHDの程度が増悪していた。また組織学的にも特に皮膚では表皮、真皮の肥厚に加えて肥満細胞の増加が認められた。特に脱顆粒を起こした肥満細胞(すなわち活性化肥満細胞を意味する)が増多しており慢性GVHDの皮膚病変の形成を強く示唆する所見であった。それ故、肥満細胞ノックアウトマウスを入手することとし研究を発展させる予定である。この点についての詳細さ解析は来年度に行う予定である。 以上、今年度の結果からはIL-17を制御することにより骨髄移植における慢性GVHDの発症を制御できる可能性が示唆されCIK細胞を用いれば抗腫瘍効果も増強できると考えられた。
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