2010 Fiscal Year Annual Research Report
難治性小児白血病に対する移植片対白血病効果における細胞傷害因子の臨床的意義の解明
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21591356
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
犬飼 岳史 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 准教授 (30293450)
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Keywords | 白血病 / 造血幹細胞移植 / 移植片対白血病効果 / 細胞傷害因子 / TRAIL / 小胞体ストレス / BCR-ABL |
Research Abstract |
Ph1陽性白血病細胞は、高頻度で細胞傷害因子のTRAILに対するdeath受容体であるDR4とDR5を発現し高いTRAIL感受性を示すことから、TRAIL-DR4/DR5系はPh1陽性白血病に対する同種造血幹移植後のGVL効果に関与している可能性が示唆されている。しかし、Ph1陽性白血病細胞であってもDR4/DR5発現が低くTRAILに耐性を示す場合があり、このTRAIL耐性の克服は同種造血幹移植の治療成績向上のために重要な課題である。いくつかの癌腫では、小胞体ストレス(ER stress)誘導剤がDR4/DR5の発現を誘導してTRAIL感受性を高めることが報告されており、またBCR-ABLのチロンシンキナーゼ活性阻害剤であるImatinibが心筋においてはER stressを誘導することが報告されている。そこで、Ph1陽性白血病細胞のTRAIL感受性に対するER stress誘導剤およびImatinibの効果について検討した。その結果、各種のER stress誘導剤がPh1陽性白血病細胞にDR4/DR5の発現を誘導してTRAIL感受性を高める一方で、ImatinibはPh1陽性白血病細胞にER stressを誘導せずに、むしろBCR-ABLの抑制効果によつてDR4/DR5発現を抑制することを明らかにした。またPh1陽性白血病細胞をあらかじめImatinibで処理するとTRAIL感受性が低下することを見いだした。その一方で、ImatinibとTRAILを同時に作用させるとTRAIL感受性は維持された。これらの知見は、同種造血幹移植後にImathibを投与する場合には、条件によってはGVL、効果をかえつて抑制してしまう可能性を示唆している。 この研究成果は、2011年2月にLeukemia Research誌にacceptされた。
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Research Products
(7 results)