2011 Fiscal Year Annual Research Report
難治性小児白血病に対する移植片対白血病効果における細胞傷害因子の臨床的意義の解明
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21591356
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
犬飼 岳史 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 准教授 (30293450)
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Keywords | 白血病 / 造血幹細胞移植 / 移植片対白血病効果 / 細胞傷害因子 / TRAIL |
Research Abstract |
Ph1陽性白血病細胞は、高頻度で細胞傷害因子のTRAILに対するdeath受容体であるDR4とDR5を発現し高いTRAIL感受性を示すことから、TRAIL-DR4/DR5系はPh1陽性白血病に対する同種造血幹移植後のGVL効果に関与している可能性が示唆されている。これまでの本研究では、1.imatinibおよびsiRNAを用いてPh1陽性細胞株および臨床検体のBCR-ABLの活性を抑制するとDR4/DR5の発現が低下すること、2.BCR-ABLをPh1陰性白血病細胞株に遺伝子導入するとDR/DR5発現が誘導されること、3.imatinibでPh1陽性細胞を前処理するとTRAIL感受性が低下することを明らかにしてきた。 そこで本年度の研究では、imatinibおよびsiRNAによるPh1陽性白血病細胞株におけるDR4/DR5発現の抑制が細胞死誘導による二次的な変化ではないことを、カスパーゼ阻害剤の添加によって細胞死を抑制してもDR4/DR5発現が抑制されることで証明した。また、imatinibによるPh1陽性白血病細胞株のTRAIL感受性低下がDR4/DR5の発現抑制を介する現象であることを、imatinibのDISC(death-inducingsignahngcomplex)分子発現への影響がTRAIL感受性低下に関係している可能性が低いことからも確認した。さらにBCR-ABLの下流でMAPK経路がDR4/DR5発現に関与していることを、ERK1のsiRNA導入によってDR4/DR5発現が低下する事で確認した。こうした解析結果は、BCR-ABLがPh1陽性白血病におけるDR4/DR5発現に直接に関与していることを示しており、この研究成果は2012年4月にOncogene誌にacceptされた。
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Research Products
(6 results)