2009 Fiscal Year Annual Research Report
神経芽腫の予後決定候補遺伝子BMCC1の神経系における機能と神経芽腫における役割
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21591376
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Research Institution | Chiba Cancer Center (Research Institute) |
Principal Investigator |
中村 洋子 Chiba Cancer Center (Research Institute), 研究局, 主席研究員 (60260254)
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Keywords | 神経芽腫 / 神経細胞の増殖と分化 / 神経細胞死 / TrkA / BMCC1 |
Research Abstract |
神経芽腫の予後決定候補遺伝子BMCC1の神経系および神経芽腫における役割を明らかにするため以下の三項目を中心に解析を行った。 項目1;BCHドメインを中心としたBMCC1の機能解明 BMCC1のBCHドメインと相同性の高いBNIP2は、Cdc42と結合しCdc42のGAPであることが報告されているが、本研究では、BMCC1とCdc42を過剰発現させたHEK293細胞を用いた免疫沈降法およびGST-Cdc42を用いたプルダウンアッセイ法により、BMCC1とCdc42は結合をすることを明らかにした。さらに、BMCC1はCdc42に対する強いGAP活性を持つこと、Cdc42に対するこの活性は、BMCC1のBCHドメインと相互作用するCdc42GAPと競合することを見出した。したがって、BMCC1はCdc42の不活化を介してNGFによる神経分化(神経突起伸長)を負に調節することが示唆された。 項目2;TrkAの結合を介したBMCC1によるシグナル伝達経路の制御機構の解明 TrkAとBMCC1を導入したHEK293細胞を用いた解析から、NGFによってリン酸化されたTrkAとBMCC1が結合するとBMCC1はリン酸化され、Cdc42に対するGAP活性が低下することを見出した。この解析結果は、NGFによる神経分化の過程を負に制御するBMCC1が不活化される機構と考えられる。 項目3;神経芽腫の発がんモデルマウスとして期待されるBMCC1ノックアウトマウスの解析 マウスBMCC1遺伝子をノックアウトするためターゲットベクターを作成した。そのベクターをマウスES細胞に導入した。さらに、BMCC1+/-ES細胞より2系統のBMCC1+/-キメラマウスを樹立することに成功した。当該マウスの樹立は世界初であり、神経発生および神経芽腫の形成におけるBMCC1の機能をin vivoによって明らかにするために非常に有効な手段となる。
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