2009 Fiscal Year Annual Research Report
ネフローゼ発症における糸球体ポドサイトの分子複合体シグナル伝達異常の解明
Project/Area Number |
21591381
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
三浦 健一郎 The University of Tokyo, 医学部附属病院, 助教 (70408483)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
五十嵐 隆 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (70151256)
関根 孝司 東邦大学, 医学部, 教授 (50255402)
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Keywords | ネフローゼ / ポドサイト / スリット膜 / 分子複合体 / シグナル伝達 / MYH9 / NMMHC-IIA / 巣状糸球体硬化症 |
Research Abstract |
私どもは、ネフローゼ症候群の蛋白尿の発症機序を解明するにあたり、糸球体ポドサイトおよびスリット膜関連分子の分子複合体の解析・検討を行ってきた。今回、ポドサイトの細胞骨格の構築・維持に重要と思われるnon-muscle myosin heavy chain IIA(NMMHC-IIA)に着目し、これをコードする遺伝子MYH9の異常であるEpstein症候群患者の腎生検組織において、免疫組織化学染色を用いてその発現を検討した。糸球体病変が軽度である病初期から、ポドサイトにおけるNMMHC-IIAの発現は著明に低下しており、これがその後のネフローゼ症候群(巣状糸球体硬化症;FSGS)の進展のkey factorである可能性が示された。またPAN腎症モデルラットにおける検討でも、他のポドサイト関連分子であるpodocalyxinやnestinの染色性が保たれている状況下でNMMHC-IIAの著明な発現低下を認め、この分子が蛋白尿発症において重要な役割を担っていることが示唆された。さらに、NMMHC-IIAの局在を免疫電顕で検討したところ、ポドサイトの一次突起および足突起近傍の細胞質に局在していた。FSGSの病態の本態として、足突起のactin骨格の制御異常の可能性が示唆されているが、私どものデータはNMMHC-IIA分子が足突起のactin骨格の制御に重要な役割を果たしていることを示唆している。今後、NMMHC-IIAとactin骨格との相互作用、さらに、それを制御する因子(細胞内Ca濃度など)、会合する分子などについて分子生物学的な検討を行う予定である。
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Research Products
(2 results)