2009 Fiscal Year Annual Research Report
2本鎖RNAの抗RSウイルス作用を媒介するメディエーターの解明
Project/Area Number |
21591391
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
永井 和重 Sapporo Medical University, 医学部, 講師 (50347168)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堤 裕幸 札幌医科大学, 医学部, 教授 (80217348)
及川 巧 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (70574739)
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Keywords | RSウイルス / 2本鎖RNA / poly I:C / Toll様受容体 / TLR3 / 自然免疫 / 抗ウイルス |
Research Abstract |
2本鎖RNAによる抗RSウイルス(RSV)作用の分子機構を解明する目的で、2本鎖RNAの受容体として細胞表面あるいはエンドソーム内に発現しているYoll様受容体3(TLR3)の関与を調査した。ヒト肺胞上皮細胞由来A549細胞にヒトTLR3発現ベクター(pUNO-hTLR3-HA、Invivogen)をトランスフェクションし、24時間後にRSVLong株を感染させたところ、感染12、24時間後にコントロール(非過剰発現)細胞と比較して有意にRSV産生が抑制された。 次に同ベクターを用いてTLR3過剰発現A549細胞クローンを樹立し、RSV感染実験を行なった。同細胞クローンではTLR3は細胞表面ではなく細胞内で過剰発現していることがフローサイトメトリーで認められた。同細胞クローンにLong株を感染させたところ、感染18、24時間後でコントロール細胞と比較して有意にRSV増殖が抑制された。 TLR3はウイルス複製中に産生される2本鎖RNAを認識し、I型インターフェロン(IFN-α/β)を産生することから、TLR3過剰発現による抗RSV作用を媒介するサイトカインとしてIFN-α/βの関与を検索した。A549細胞にLong株を感染させ、感染24時間まで経時的に細胞培養液中のIFN-α/β濃度をELISAにて測定した結果、IFN-β濃度は増大したがIFN-αは検出感度以下だった。TLR3過剰発現細胞クローン及びコントロール細胞にLong株を感染させ細胞培養液中のIFN-β濃度を測定した結果、予想に反して感染24時間後にコントロール細胞でIFN-β濃度が有意に高かった。この理由として、コントロール細胞培養液中ではRSV量が有意に高いため、高タイターのRSV感染がTLR3やその他のIFN誘導受容体を刺激した結果、コントロール細胞で多量のIFN-βが放出されたと推定された。
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