2010 Fiscal Year Annual Research Report
2本鎖RNAの抗RSウイルス作用を媒介するメディエーターの解明
Project/Area Number |
21591391
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
永井 和重 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (50347168)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堤 裕幸 札幌医科大学, 医学部, 教授 (80217348)
及川 巧 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (70574739)
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Keywords | RSウイルス / 2本鎖RNA / poly I:C / Toll様受容体 / TLR3 / 自然免疫 / 抗ウイルス |
Research Abstract |
平成21年度では、2本鎖RNAによる抗RSウイルス(RSV)作用の分子メカニズムを解明する目的で、2本鎖RNA受容体の一つであるToll様受容体3(TLR3)を過剰発現させたヒト肺胞上皮細胞由来A549細胞(TLR3-A549細胞)を樹立し、これにRSVを感染させてTLR3の抗RSV作用を見出した。更にこのTLR3による抗RSV作用のメディエーターとして、過去の報告よりI型インターフェロン(IFN)、特にIFN-βの関与が疑われ、TLR3-A549細胞及びベクター発現コントロール細胞にRSVを感染させ、細胞培養液中のIFN-β濃度をELISAで測定したところ、むしろコントロール細胞培養液中のIFN-β濃度がより高値であった。 平成22年度ではIFN-βの関与をより詳細に検討する目的で、培養液中に抗IFN-β抗体を添加し、RSV感染により培養液中に産生されたIFN-βを中和することで、IFN-βがTLR3の抗RSV作用を媒介しているか否かを調査した。その結果、抗IFN-β抗体を添加することによりTLR3-A549細胞及びコントロール細胞の双方でRSV産生が有意に増加することがプラークアッセイで示された。しかしTLR3-A549細胞でのRSV産生量はIFN-βを中和してもまだコントロール細胞でのRSV産生量には届かず、以上よりTLR3の抗RSV作用を媒介する因子はIFN-β以外にも存在することが示唆された。
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