2011 Fiscal Year Annual Research Report
2本鎖RNAの抗ウイルス作用を媒介するメディエーターの解明
Project/Area Number |
21591391
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
永井 和重 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (50347168)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堤 裕幸 札幌医科大学, 医学部, 教授 (80217348)
及川 巧 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (70574739)
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Keywords | RSウイルス / 2本鎖RNA / 自然免疫 / TLR3 / 抗ウイルス作用 / インターフェロン |
Research Abstract |
本研究ではこれまで培養細胞における2本鎖RNAによる抗RSウイルス(RSV)作用を、Toll様受容体3(Toll-like receptor 3 : TLR3)をヒト肺胞上皮細胞由来A549細胞に過剰発現させた系において、RSV感染実験により解明してきた。更にこのTLR3による抗RSV作用のメディエーターの一つとして、インターフェロン(IFN)-βの存在が明らかにされたが、これ以外のメディエーターの存在も示唆された。 平成23年度ではこれまでの研究報告から、IFN-β以外のメディエーターとしてIFN-λに着目し、IFN-λ1 ELISAにてIFN-λ1の関与を調査する予定であった。しかし同ELISAがうまく作動せず、当該年度内での実施は困難であった。その代わり、別の視点からこのメディエーター問題の解明を試みた。これまでヒト由来の培養細胞にヒトTLR3遺伝子を過剰発現させRSV感染実験を実施してきたが、RSV感染実験に頻用されるアフリカミドリザル腎細胞由来のVero細胞にTLR3遺伝子を一過性に過剰発現させてRSV感染実験を行った。Preliminaryな実験結果では、TLR3一過性過剰発現Vero細胞にRSVを感染させたところ、予想に反して感染12時間、24時間いずれにおいても、培養上清中におけるRSV産生量(real-time RT-PCRで測定されたRSVコピー数)はTLR3過剰発現群がコントロール群よりも有意に高値であった。この理由については現時点では不明であるが、RSVがVero細胞に感染するとRSVのG蛋白が変異することにより、その後のRSV感染性が低下することが報告されており(Kwilas S et al.J Virol 83:10710-8,2009)、今回Vero細胞に導入されたヒトTLR3発現がその作用に関与している可能性も考えられた。今後の研究での解明が待たれる。
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