2011 Fiscal Year Annual Research Report
ガンシクロビル耐性ヒトサイトメガロウイルスUL97遺伝子変異に関する研究
Project/Area Number |
21591392
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
堤 裕幸 札幌医科大学, 医学部, 教授 (80217348)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
要藤 裕孝 札幌医科大学, 医学部, 講師 (10404659)
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Keywords | CMV / 分子疫学 / ガンシクロビル / UL97 / 免疫不全 |
Research Abstract |
983~2010年までの期間に得られたサイトメガロウイルス(CMV)株を対象としたが、最終的に免疫健常者61名から得られた61株とした。これらを組織培養して得たDNA、あるいは保存されていた培養上清から得たDNAを用いた。PCR法にてUL97遺伝子の618bp(コドン439-645)を増幅し、そのPCR産物の遺伝子配列を、オートシークエンサーをもちいて解析した。それらをCWの標準株であるAD169株を基準として遺伝子変異の有無(ヌクレオチドの変異、アミノ酸の変異)を検討した。ガンシクロビル耐性を与えると報告されているM460V、M460I、A594V、L595S、L595F、C603Wなどの変異は観察されなかった。一方、D605E変異が61株中56株91.8%以上という高率で検出された。この変異は欧米にても報告されているが、その頻度は10%前後と低く、この変異とガンシクロビル耐性については無関係とされている。ところが中国においては別の報告が見られている。移植患者から分離されたCMVであり、健常者から分離されたCMVではないが、D605E変異が本研究と同様に高率に検出されたという。中国においても、D605E変異は、ガンシクロビルの使用如何に拘わらず、元々存在した変異である可能性が高い。つまり、このD605E変異は欧米には多くなく、日本、中国をはじめとした、東アジアに流布しているCMV株の遺伝子マーカーとなるものと考えられる。引き続いてサイレントな遺伝子変異を含め検討を進めたが、G503G(60/61)、G598G(60/61)、P525P(43/61)に高頻度でサイレントな遺伝子変異を認めた。これらの遺伝子変異が持つ意味についても今後の検討が必要と考えられる。以上の検討結果については、Microbiol Immunol 2011;55:328-330に発表した。
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Research Products
(4 results)