2011 Fiscal Year Annual Research Report
蛍光標識二次元電気泳動法を用いた動脈管タンパク質の発現変動解析
Project/Area Number |
21591399
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
羽山 恵美子 東京女子医科大学, 医学部, 非常勤講師 (00349698)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中西 敏雄 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (90120013)
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Keywords | タンパク質 / シグナル伝達 / 動脈管 / 酸素感受性 / プロテオミクス |
Research Abstract |
本研究の目的は、蛍光標識二次元ディファレンスゲル電気泳動法を用いて、動脈管の酸素感受性に関わるタンパク質を網羅的に探索することである。未熟児の動脈管は生後の血中酸素濃度の上昇にも関わらず、収縮能が弱いことが知られている。昨年度に引き続き、未熟成熟動脈管・肺動脈に発現するタンパク質を比較し、特異的なタンパク質を探索した。 方法:胎生21日胎仔(超未熟):74匹、27日胎仔(未熟):20匹、30日胎仔(成熟):20匹;、新生仔:10匹の家兎の動脈管および肺動脈をプールし分析試料とした。各試料からタンパク質を抽出・蛍光標識し、等電点/SDS二次元電気泳動を行い発現を比較し、質量分析法により帰属した。 結果:動脈管の成熟期に発現が増加する3タンパク質を帰属した。一つは、EFハンドドメイン(Ca結合能)もつreticulocalbin3(Rcn3)であった。生理的な機能はまだよく知られていないが、低浸潤性の乳癌細胞より高浸潤性のものでより高発現であることから、細胞の遊走能に関与する可能性をもつ。二番目はアクチン結合タンパク質の一つであるtropomyosin2(Tpm2)であった。Tpm2は骨格筋型であり、平滑筋、心筋、骨格筋に発現し、細胞の遊走能に関与する可能性がある。三番目は、transgelin(SM22)であり、平滑筋に高発現するアクチン結合タンパク質の一つである。細胞の形状の変化や形質転換に関係することから、Tpm2と共に動脈管の収縮制御に寄与すると考えられる。 まとめ:本基盤研究により、成熟胎仔動脈管では、アクチン-ミオシン相互作用を制御するタンパク質群(Tpm2,SM22)の発現が高まり、Ca濃度依存の制御(Rcn3)を受け、初年度の成果であるperoxiredoxinのような酸化還元状態に関係するタンパク質によりその機能が制御されているという図式を導きだすことができた。
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