2010 Fiscal Year Annual Research Report
レチノイン酸母体投与による大血管異常マウスでの二次心臓領域細胞の遺伝子異常の解析
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21591406
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
白石 公 独立行政法人国立循環器病研究センター, 小児循環器部, 部長 (80295659)
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Keywords | レチノイン酸 / 二次心臓領域 / 大血管転位 / ファロー四徴症 / 先天性心疾患 |
Research Abstract |
先天性心疾患は複数の遺伝子異常と環境因子が重なり合って発症する多因子病であると考えられている。我々はビタミンA誘導体であるレチノイン酸(RA)を妊娠マウスへ投与する際に時期を細かく変化させ、ヒト先天性心疾患に近い幅広いスペクトラムの心奇形を発症させることに成功した。これらの動物モデルの解剖診断を詳細に行うとともに、多彩な奇形が発症する心臓流出路において、薬剤と遺伝子の関係を明らかにするために遺伝子プロフィールを検討した。[結果]6.5日投与(n=78)では、内臓錯位やCAVCなど左右軸と流入路障害およびTGA, DORV, PAなどの流出路異常が、6.75日投与(n=12)の一部でHLHSが発症した。8.5日投与(n=40)ではTGAやDORVなど動脈幹中隔の螺旋異常が、9.0日投与(n=21)と9.5日(n=32)投与ではPTA, TOF, AP windowなどの動脈幹中隔異常が各々28%と11%、RSCAなどの大動脈弓異常が55%と69%、胸腺異常が55%と75%発症した。9.5日投与の流出路では362の発現低下(<x0.5)と24の亢進(>x2.0)遺伝子が確認された。またreal-time PCRでは、Tbx1は内臓中胚葉-咽頭弓組織(内胚葉を含む)で高い発現がみられ、この部分ではRA投与群は対照群に比べて発現が低下(0.67倍)した。一方myocardinは主に心臓流出路で高い発現がみられ、この部分ではRA投与群では対照群に比べてわずかに発現が亢進(1.19倍)した。平成23年度は、二次心臓領域に発現するTbx1-およびIsl1-Creマウスを入手し、Rosa26マウスと交叉して得られた妊娠マウスに、これまでと同様な方法でRAを腹腔内投与し、X-gal染色を施し、RA投与マウスにおける胎仔のTbx1陽性細胞とIsl1陽性細胞の遊走、分布、分化の程度を詳細に検討する。
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