2011 Fiscal Year Annual Research Report
レチノイン酸母体投与による大血管異常マウスでの二次心臓領域細胞の遺伝子発現の解析
Project/Area Number |
21591406
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Research Institution | 独立行政法人国立循環器病研究センター |
Principal Investigator |
白石 公 独立行政法人国立循環器病研究センター, 小児循環器部, 部長 (80295659)
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Keywords | レチノイン酸 / 二次心臓領域 / 大血管転位 / ファロー四徴 / 先天性心疾患 |
Research Abstract |
[背景]近年遺伝子操作マウス研究の目覚ましい発展により、先天性心疾患を発症させる責任遺伝子が数多く同定されてきた。しかしながら薬剤やウイルス感染など母体への環境因子も心奇形発症に関わる大きな要因である。今回我々は妊娠マウスへのレチノイン酸(RA)投与の時期を変化させることにより、これまでの報告より更に幅広いスペクトラムの心奇形を発症させることに成功したので報告する。[方法]1)left-right axisおよびprimary heart fieldへの影響を明らかにする目的で、妊娠マウス6.5日、6.75日齢にRA20mg/kgを、2)secondary heart field(SHF)への影響を明らかにする目的で、妊娠マウス8.5日、9.5日齢にRA70mg/Kgを腹腔内投与した。[結果]6.5日齢投与ではrightもしくはleft isomerism,CAVCなどの左右軸や流入路の障害、およびTGA,DORV,PAが発症した。興味深いことに6.75日齢でのRA投与の一部の胎仔ではこれまで報告のない、典型的なHLHS(MA,AA)が発症した。2)8.5日齢での投与では、TGAやDORVなど動脈幹中隔の螺旋形成異常による心奇形が発症した。さらに9.5日齢での投与では、PTA,TOF,APwindowなど、SHFよびcardiac neural crest cell(CNCC)の機能遊走異常に起因する心奇形が発症した。[結語]妊娠マウスへのRAの時期を変えた投与により、臨床でみられる幅広いスペクトラムの複雑心奇形が作成可能であった。RA早期投与によって左側房室弁形成障害に起因するHLHSが発症したこと、またTOFやPTAがTGAやDORVより後のRA投与により発症したことは、各々の疾患の病因と責任遺伝子を明らかにする上で興味深いものと考えられた。
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