2010 Fiscal Year Annual Research Report
アデニル酸シクラーゼを標的とした副作用のない動脈管制御の開発
Project/Area Number |
21591418
|
Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
岩崎 志穂 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (10347338)
|
Keywords | 動脈管 / アデニル酸シクラーゼ |
Research Abstract |
動脈管のコントロールに対し現在使用されているプロスタグランジン(PG)関連の薬剤は副作用が問題となる事が多い。動脈管閉鎖には血管収縮およびヒアルロン酸(HA)分泌に基づく内膜肥厚が関与しておりプロスタグランジンE(PGE)は両者に作用している。本研究では、PGEの作用を介しているアデニル酸シクラーゼ(AC)のアイソフォームが、血管拡張と内膜肥厚への選択的な作用を持つか否かを調べる事で副作用の少ない新薬を開発することを目的とした。先行実験ではAC2、6が動脈管で高発現しておりHA分泌にはAC6が作用していた。そして21年度はAC6の作用で亢進したHA産生がAC2で抑制されること、AC6が血管拡張に作用する事が明らかになり、AC2/6刺激薬:6-[N-(2-isothiocyanatoethyl1)aminocarbonyl]forskolin(FD1)が内膜肥厚を生じさせず血管拡張作用を認める事が示唆された。22年度は器官培養および生体内での実験を試行した。まず、FD1、FD6(AC5/6刺激薬:6-[3-(dimethylamino)propionyl]-14 15-dihydroforskolin)の刺激下でラット動脈管器官培養を施行、動脈管の内膜肥厚はFD1では認められたがFD6では認められなかった。次に生後1時間のラット新生仔の腹腔内にPGE1、FD1、FD6を投与し全身凍結法により時間を追って動脈管の開存を調べた。現在治療に使われているPGE1は投与後30分以降、時間とともに効果がなくなり持続時間は2時間であった。FD1は持続時間4時間であった。一方、FD6は血管拡張作用はあったものの、臨床で問題となるPGE1と同様の呼吸抑制により投与後4時間ですべてのラットが死亡した。副作用である無呼吸を認めず、持続時間が長く内膜肥厚を伴わないFD1の作用が明らかになった。
|
Research Products
(2 results)