2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21591423
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
石本 人士 東海大学, 医学部, 教授 (10212937)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 朱音 東海大学, 医学部, 講師 (00384884)
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Keywords | ミッドカイン / 羊水 / 羊膜 / 妊娠維持 / 胎児副腎 / アンギオテンシン変換酵素 |
Research Abstract |
前年度に引き続き、胎児肺が主要な羊水中MK産生源である可能性について検討した。まずヒト胎児肺のMK発現・局在の検討では、MKはほぼ肺胞上皮細胞に発現していること、妊娠中期肺に高発現しているが妊娠末期では発現が減弱することを見いだした。これは前年度までに明らかであった羊水中MK濃度の推移と同様の結果であった。また羊膜上皮細胞培養における検討では、MK蛋白の羊水中に匹敵する濃度での添加により、子宮収縮促進物質であるプロスタグランディンE2産生量、羊膜cyclooxygenase-2(COX2)mRNA発現量がMK量依存性に抑制された。以上より、羊水中に存在するMKは妊娠中期にはCOX2の発現抑制を介して妊娠維持に働いているが、妊娠末期には羊水中濃度が減少しCOX2発現抑制効果が減弱することにより、分娩・陣痛発来機序に関与している可能性が示唆された。また羊水中MKの由来に関しては、羊膜にMKが発現していないことや胎児肺MK発現と羊水中MK濃度の挙動が一致すること等から、少なくとも一部は胎児肺に由来することが強く示唆され、胎児肺由来MKが妊娠維持シグナルとして働いている可能性が考えられた。 また胎児副腎については、組織レニン-アンギオテンシン系の主要構成要素であるアンギオテンシン変換酵素(ACE)に着目して検討した。ACE mRNA発現量は、妊娠中期ヒト胎児副腎の外層DZでは内層FZに比較して高く、18週から24週にかけて2-3倍に増加した。またCYP11B2の発現量も同様な発現パターンを示した。この結果は転写因子NGF-IBとNurr1、ステロイド産生酵素HSD3B2とCYP11B2の発現パターンとも一致しており、アルドステロン産生系因子がほぼ一致した時間的・空間的発現挙動を示すことが判明した。また海外共同研究者との検討において、培養ヒト胎児副腎皮質細胞(DZ細胞)ではアンギオテンシン-II添加によりACEが発現増強することが判明し、ACEがヒト胎児副腎においてアルドステロン産生系の局所調節因子として関与していることが示唆された。
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